海賊版対策は刑事訴追が最も有効、MPAAが議会に訴え

TorrentFreak

MPAAは、海賊版との戦いに3つのアプローチをとっている。1つは外部仲介事業者との自発的合意の締結、もう1つは主要な海賊版サイト／サービスに対する民事訴訟、そして最後が著作権侵害者への刑事訴追を連邦政府に訴えかけることである。MPAAは先日、米国の法執行機関に数件の海賊版ストリーミング活動を摘発するよう要請したという。

全米映画協会（MPAA）は、長きに渡ってインターネット上の海賊行為との戦いを続けてきたが、この問題は一向に解決の目処が立っていない。

10年ほど前には、トレントサイトこそが最大の脅威であった。しかし時間の経過とともに、その対象はサイバーロッカーに、そしてオンラインストリーミングへと移り変わっていった。

MPAAはこれまで、世界中の海賊版サイト／サービスへの民事訴訟を進めてきた。だが彼ら自身は、刑事訴追のほうが有効だと考えているようだ。

MPAAのニール・フリード上級法律顧問は、先日の米下院公聴会での証言で、Megauploadの事件を例に上げ、刑事訴追がいかに効果的であるかを説明した。

「米政府はこのような措置にあまり積極的ではないが、刑事事件ともなれば注目を集め、さらに有罪判決が下されれば禁固刑が科せられる可能性もあり、民事訴訟よりも抑止効果は大きい」とフリード氏は述べている。

「実際、2012年に米国政府がMegaupload（当時最大の海賊版『サイバーロッカー』で全インターネットトラフィックの4％を占めていた）に措置を講じたことで、大手映画会社3社の正規のデジタルセールスは世界12カ国で6.5〜8.5％の上昇を見せている」と同氏は主張する。この数字は、MPAAが資金援助した研究グループの学術研究を根拠にしている。

MPAAは、米司法省（DoJ）に海賊版事件の捜査を今後も継続するよう求めている。MPAAはこれを促すべく、すでに複数の海賊版ストリーミングビジネスについて報告しており、同様の効果を期待しているという。

「（訳註：前述したような）適法な消費の上昇を再現するために、MPAAは海賊版ストリーミング配信について司法省に複数回わたって刑事告発を行っている」とフリード氏はいう。

それぞれの詳細については明らかにはされていないが、MPAAがストリーミングに関連した犯罪行為の訴追を望んでいることは間違いない。彼らが標的としているのは、海賊版ストリーミングサイトだけではなく、違法なIPTVサービスや海賊版ストリーミングボックスを販売する企業も含まれている。

MPAAはこれまで何度か、海賊版に関連した事件につながる情報を捜査当局に提供してきた。MPAAからの情報に基づいて、BitTorrentリリースグループのIMAGiNEメンバーの刑事訴追、さらにはMegauploadやKickassTorrentsの事件もMPAAの情報提供が端緒となっている。

Megaupload、KickassTorrentsの事件は、それぞれニュージーランド、ポーランドでの身柄引き渡し要求の結論が出るまで係属中とされている。こうした訴訟が遅々として進んでいない状況を見るに、司法省がさらなるオンライン海賊版事件を抱えることにはあまり熱心にはなれないのかもしれない。

MPAAによる刑事照会は、3つのアプローチを取る海賊版対策の一環として行われている。ほかには、外部サービスによる自主的な海賊版侵害対策の取り組みや、著作権侵害サイト／サービスへの民事訴訟がある。

自主的な取り組みには、ドメインレジストラ、広告事業者、決済機関との合意が含まれており、これら事業者には既知の海賊版サイトとの関係を断ち切ることが求められている。

民事訴訟では、MPAAの近年の活動はAlliance for Creativity and Entertainment（ACE）と協調して行われている。同団体はストリーミングボックスベンダーやIPTVサービスに対して民事訴訟を起こす傍ら、海賊版アドオン開発者との「直接対話（knock and talks）」を進めてもいる。

この数年、海賊版ストリーミングに関連した刑事訴追は行われていない。しかしMPAAは、連邦政府が視野を広げ、ストリーミング関連の海賊行為への訴追を進めるよう議員たちに求めている。

「我々は、議会が司法省に刑事訴追を進めるよう促すことを願っている」とフリードは記している。

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MPAAのニール・フリードの証言全文は、米下院エネルギー・商業委員会（pdf）、米上院商業・科学・輸送委員会（pdf）の公聴会に提出されている。

MPAA Wants U.S. Govt. to Prosecute Streaming Piracy Operations – TorrentFreak