プリンスが不慮の死を遂げ、世界は悲しみに包まれた。このショッキングなニュースは、この一昼夜、ヘッドラインを埋め尽くしている。多くの人びとはポップアイコンを讃え、彼の曲を聴いた。しかし、皮肉なことに、彼の死は膨大な数の違法ダウンロードを生み出した。それこそまさに、プリンスが戦い続けたものであったのに。
4月21日朝、プリンスがペイズリー・パークの自宅で亡くなっているのが発見された。
彼の死を世界中の人びとが悲しんだ。彼がさまざまな世代に多大な影響を与えていたことの現れであろう。
これから数日は、彼の人生の逸話、回顧、ドキュメンタリー、特集があふれることだろう。その中心となるのは彼の音楽であることは疑いない。
同様に、多くの人びとが、偉大なアーティストに敬意を評し、お気に入りのプリンスの曲を聴きたいと思っているだろう。しかし、プリンスのことをよくご存じの方であれば、それが「言うは易く行うは難し」であることをよく理解しているだろう。
プリンスは、自身の作品を守ってきたことで知られている。著作権侵害から作品を守るだけではなく、強欲な音楽レーベルや『悪徳業者』からも守ってきた。彼の曲がYouTubeやSpotifyで見つからないのはそのためだ。
先ほどの記事に書いたように、プリンスは著作権侵害を強く嫌悪していた。10年前に悪名高きパイレート・ベイを世界ではじめて訴えたのもプリンスであった。
また、彼はWeb Sheriffの助けを借り、たくさんの海賊版サイトから違法コピーを削除し続けてきた。
プリンスがこれほどまでに著作権侵害を嫌っていたにも関わらず、一部のファンはトレントサイトに集っているようだ。それどころか、彼の死後わずか数時間のうちに、ディスコグラフィとコンピレーション・アルバムのフルセットが、インターネット中にアップロードされている。
彼の生前には、プリンスのアルバムをアクティブに共有していたのはわずか数十人であったが、彼の死後、その数は数千人にまで急増した。
この1日で、およそ10万人がプリンスの曲をダウンロードしたと見られている。世界で最もアクセスを集めるトレントサイト KickassTorrentでは、プリンスは人気の音楽ファイルトップ5を独占した。
ほとんどのユーザは曲のダウンロードが悪いことだとは思っていないのだろう。それどころか、そうすることが追悼だとすら思っているのかもしれない。それを示すように、トレントのコメント欄には彼の冥福を祈るコメントや彼を称えるコメントが書き込まれている。
しかし、こうした違法ダウンロードの盛り上がりは、いささか無粋ではないかと思うのだ。
プリンスを偲びたいのであれば、彼の音楽を買うことこそが本当の追悼となるのではないか。彼のもとにお金が渡るからとかいう理由ではなく、彼がそうあって欲しいと願っていたのだから。せめて最期くらいは……。
“Prince’s Death Prompts ‘Awkward’ Piracy Surge – TorrentFreak”
Publication Date: April 22, 2016
Translation: heatwave_p2p