BBCは世界で最もリスペクトされた放送局の1つだが、一部の著作権者はBBCが著作権侵害の温床だと考えている。ここ数週間、Googleに大量に送りつけられている通知のなかに、BBCが130回以上にわたって著作権を侵害したと訴えるものが含まれていた。ある組織は、BBC1とBBC News全体をGoogle検索インデックスから削除しようと試みている。
海賊版コンテンツの蔓延をめぐる論争は今年、新たなレベルに到達した。いささか予想されていたことではあるが、大きな混乱を引き起こしてもいる。
Googleはインターネットに存在する数百の『海賊版』サイトと戦う立場にはないが、MPAAやRIAAのような組織は、そのように考えたりはしない。彼らは、Googleが著作権侵害コンテンツが表示されることをまったく防いでいないと強く批判している。
ここのところ、米国著作権局によるDMCAの見直しの話題が盛んに伝えられているが、エンターテイメント産業の熱烈な支援者たちが更新するブログでは、日夜Googleへの攻撃が加えられている。その一方で、Googleは毎週黙々と、自らが行ったわけではない著作権侵害に対する数百万の削除要請を処理し続けている。
Googleへの批判は高まる一方だが、Googleが多数の著作権者や彼らの救いようのない自動化ボットから送付されてくるDMCAを濫用した削除要請に対処し続けていることはほとんど知られていない。その一端が、BBCへの攻撃として姿を表した。
BBCは世界有数の放送局として、著作権侵害等をはじめ、あらゆる法律に非常に敏感である。しかし、著作権者によれば、BBCは著作権侵害の温床なのだという。
以下の画像のように、BBCは最近、複数の著作権者から次々と著作権侵害の申し立てを提出されている。
もっとも酷いのは、MPAAの「ナレッジ・パートナー」を自称するインドのアンチ・パイラシー団体Markscanからのものだ。
Googleに送られた通知は2016 Paris ePrix(electric Formula E racing)の権利者を守るために送られており、Markscanはこのイベントを無許可でライブ配信する数百のリンクの削除を求めていた。
残念なことに、Markscanのボットはとんでもない冤罪を引き起こしている。まずはじめにBBC iPlayのBBC Newsに、続いてBBCを代表するエンターテイメントチャンネルBBC OneをGoogle検索結果から削除するよう求めたのである。
Markscanが送付した全574リンクのすべてを精査したわけではないが、上記YahooのURLはまったくの濡れ衣であった。さらに、言及されたリンクの大半は2016年4月23日に開催されたパリのレースのライブストリームに関係するものであり、そのイベントは既に終わってしまっている。そのため、GoogleはMarkscanの申し立ての97%をリジェクトした。
しかし、お楽しみはそれでは終わらない。3月終わりにアンチ・パイラシー団体Topple TrackがBBCを標的として送りつけた大量の削除要請は、いずれもBBCがレコードレーベルの権利を侵害しているとGoogleに通知している。3月29日にはBBCの38のページ、翌日には40ページ、ほかにもこまごまと削除を要請を送り続けている。
これらの削除要請すべてに共通しているのは、いずれもでっち上げであり、DMCAの濫用であり、Googleのチェックで蹴られて削除を拒否されているということだ。冒頭でも述べたように、著作権者はしばしばGoogleを悪し様に非難しているが、寄せられてくる通知のすべてを受け入れてはいられない状況もある。実際、Googleは正しくあるために時間を費やしている。それは、著作権者が時間を節約し、誤ったことをしないよう手助けしているということでもある。
一部には、不適切な通知は比較的僅かな割合であり、それをもって全体を語ることはできないと主張する人もいるが、そういう人は自分のURLが検索結果から削除されなければ、わからないのだろう。Googleの警戒のおかげで、BBCのiPlayerは検索結果に今日も表示されている。BBCはそのことに感謝しているだろう。
“Copyright Holders Try To Remove BBC iPlayer From Google – TorrentFreak”