MPAAは、米国外のドメイン・レジストリと、初めてアンチ・パイラシー協定を結んだ。この映画産業団体は「信頼された通知者」として、アジア最大の新規gTLD申請者 Radixを支援し、彼らのドメイン名を使用した海賊版サイトを排除するという。
エンターテイメント産業団体は、SOPA法案、PIPA法案が廃案となったことで、法改正のためのロビー活動に力を入れるよりも、複数ステークホルダーとの自発的な協力関係を構築することにシフトしている。
その結果、MPAAはインターネット・プロバイダや広告代理店、決済サービスと海賊行為を阻むための複数の協定を結ぶことに成功した。
こうした流れのなかで、MPAAは現在ドメイン・ネーム・レジストリ、レジストラとのプライベートな合意を取り付けるべく積極的に動いている。数カ月前には米国のDonutsとの協働を公表したばかりだが、MPAAはさらにグローバルな展開を進めたいようだ。
本日、MPAAとアジアのレジストリRadixは、新たなアンチ・パイラシー・パートナーシップをアナウンスした。Radixはアジア最大の新規gTLD申請者を自称し、.online、.space、.website、.press、.host、.siteなど複数のドメイン名拡張子を管理している。
この協定のもとで、MPAAは「信頼された通知者」として、明らかに著作権を侵害しているウェブサイトを報告する役割を担う。複数のチェックを経て、それらのドメイン名はレジストリによってサスペンドされる。
「われわれは、われわれのネーム・スペースにおける知的財産権、著作権侵害を防ぐことを助ける意味で、MPAAとの協力関係を歓迎する」とRadixのサンディープ・ランチャンダニはコメントする。
「われわれのジョイントアクションが、クリエイターが作品を盗まれることから守るのみならず、一般的に非許諾のオペレーターに運営されているウェブサイトに蔓延しているマルウェアの脅威からインターネットユーザを守ることになればと願っている」
このパートナーシップの詳細は公表されてはいないが、おそらくDonutsとの協定と同じものであろう。詳細については、先日の記事を参考にしてほしい。
今回の合意は、MPAAがインターネット上の著作権侵害と戦うために、積極的にレジストリと手を組もうとしていることを意味している。
MPAAは以前、ドメインネーム・システム管理機関ICANNに海賊版サイト対策を講じるようロビー活動を行っていたが、何ら成果は得られなかった。これまでのところ、レジストリと直接交渉することは、より有益であることが証明されている。
MPAAの専務取締役スティーブン・ファブリッツィオは、自発的なパートナーシップはオンライン・パイラシートの戦いを助けることになるだろうと話す。さらに、彼は他の産業やドメインネーム・サービスに拡大したいのだという。
「この合意は映画やテレビ番組の著作権侵害を対象にしたものだが、同様の合意がインターネットで行われている別の違法な活動を抑止することができるかもしれない。うまくいけば、ドメインネーム・エコシステムやインターネットの中間媒介業者などのほかのプレイヤーとともに用いられるモデルとなるかもしれない」
この合意は、大手の海賊版サイトがただちに危機に瀕するような状況を作り出すわけではないが、手持ちのドメイン名の選択肢を制限することにはなるだろう。また、yts.hostやthepiratebay.tech、torrentmirror.onlineなどのドメインは、じきに消え去ることになるだろう。
“MPAA Signs Anti-Piracy Deal With Large Domain Registry – TorrentFreak”
Publication Date: May 13, 2016
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: Mark Forman (CC BY-NC-SA 2.0)