以下の文章は、Walled Cultureの「Upload filters: unjustified blocks, unfair appeals process, and a system rigged in favour of Big Content」という記事を翻訳したものである。
EU著作権指令は、現代の著作権における最悪のアイデア、つまり主要サイトへのアップロードフィルターの義務づけが含まれています。クリエイターと市民の双方に極めて有害だと繰り返し説明されてきたにもかかわらず、EUの政治家たちはこの立法提案者たちの甘言に乗せられてしまったのです。
欧州著作権指令の悪影響は、現時点では実感は湧いていないかもしれません。それは各国議会が、この指令がはらむ矛盾をどうやって法律に落とし込むか苦慮しているためです。しかし、アップロードフィルターはYouTubeのコンテンツIDのように、すでにアドホックに用いられています。このアプローチの問題点を明らかにする証拠は数多く示されていますが、新たに公開されたコロンビア・カリズマ財団の報告書も、アップロードフィルターがクリエイターに被害をもたらしている現状を明らかにしています。
本調査では、パブリックドメインコンテンツやオリジナルのコンテンツに対する不当な著作権侵害通知が送られた複数の事例が見られた。これら不当な通知の対象となったデジタルクリエイターたちは、異議申し立て手続きや反対通知手続きが自分の権利保護には役立っていないと断言している。対象となった複数のプラットフォームの異議申し立てインターフェースは問題の解決には役立たず、代替手続きもなく、デジタルクリエイターたちは無防備な状態に置かれている。このシステムは、クリエイターが視聴者を増やし、維持し、収益化することを損なうのみならず、独立したクリエイターの表現の自由にも深刻な萎縮効果をもたらしている。さらにこのシステムは、大企業に自ら権利を有していないコンテンツの著作権を主張するインセンティブすら与えてもいる。
サマリーで指摘されているように、不当にコンテンツがブロックされているだけではないのです。クリエイターに不利な異議申し立て手続きや、企業が他人の著作権を虚偽主張できるほどにビッグコンテンツに有利なシステムが、問題を更に深刻にしているのです。米国とEUに注目が集中しがちな問題ですが、カリズマ財団の報告書はコロンビアの状況をまとめたという点で、とりわけ価値ある調査になっています。
Upload filters: unjustified blocks, unfair appeals process, and a system rigged in favour of Big Content – Walled Culture
Author: Glyn Moody / Walled Culture (CC BY 4.0)
Publication Date: September 8, 2022
Translation: heatwave_p2p
Material of Header image: The National Guard (CC BY 2.0)