TorrentFreak

どんな人にも、忘れたくなるようなひどい写真の1枚や2枚はある。しかし、そういった写真はたいてい、家族のアルバムの中に人知れず埋もれているものだ。しかし、億万長者のロックスターだったらどうだろうか。見られたくない瞬間を消し去る最後の手段として、DMCA削除にすがってしまうかもしれない。

通常、こうしたページには、インターネット・パイラシーから自らの作品を守ろうと全力を尽くす著作権者が掲載されている。

この確立した方法は、ウェブホストやGoogle、Facebook、YouTubeなどのプラットフォームにDMCA削除通知を提出するためものである。こうしたDMCA削除要請は、週に数百万通が送られ、処理されている。

確かに、著作権者は自らの作品を守る権利を持っているが、騒動を引き起こす事例も存在する。そうした事例はしばしば、侵害コンテンツの削除要請の拙さ、不備などに起因しているが、なかには検閲が目的ではないかと思われるものも少なくない。

そうした事例が、今週、Googleから提供されるLumen DatabaseのDMCAアーカイブにもたらされた。それらはいずれも2016年5月31日に、BlogspotとGoogleUserContentに寄せられた6通の著作権クレームで、ガンズ・アンド・ローゼスのボーカル アクセル・ローズの写真を削除するよう求めるものであった。

「アクセル・ローズの画像著作物。この画像著作物の公開は許諾されていないことを報告いたします。なお、(翻訳註:公開が認められていないため)許諾された公開画像を示すことはできません」とWeb Sheriffは、アクセル・ローズの代理として通知を送付している。

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いずれの通知(123456)も、同一の画像――2010年にカナダ・ウィニペグのMTSセンターで撮影されたアクセル・ローズのひどい写真――に関係している。

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TorrentFreakはこの瞬間をとらえた写真家を突き止め、これらの著作権削除について把握しているのかを尋ねることにした。我々は最終的に、ウィニペグ・フリープレスのボリス・ミンケヴィッチにたどり着いた。このウィニペグ・フリープレスこそ、彼の素晴らしい作品が掲げられている場所である。

何度かやり取りをするなかで、ミンケヴィッチが写真を撮影したこと、そして、ミンケヴィッチはアクセル・ローズが自身の写真を「ウェブから浄化」しようとしていることを知らなかったことがわかった。

我々はこの時点で、アクセル・ローズはミンケヴィッチの写真を削除する権利を持っていないのではないか、と考えた。写真を撮影した人物がミンケヴィッチなのであれば、彼がその写真の著作物を持っているはずだ。しかし、Web Sheriffはそうは考えていないようだ。

「(アクセル・ローズの)ライブに参加するすべての公式/公認カメラマンが、『写真許諾』契約/『写真放棄』契約――(翻訳註:ライブに参加するカメラマンは)A. 特定かつ制限されたかたちで写真を使用することができる B. アクセル・ローズに関連するサービス会社にそれらの写真の著作権の所有権を譲渡する――を交わすことになっています。」とWeb Sheriffは声明においてTFに語った。

我々はふたたびミンケヴィッチにコンタクトを取り、Web Sheriffが主張するような契約にサインしたのかどうか、そして、誰が著作権を所有していると考えているかを尋ねた。彼は、カメラマンはライブによって契約にサインすることもあれば、そういった契約を求められないこともあると話す。2010年に行われたこのイベントは古すぎて覚えていないという。

しかし、たとえミンケヴィッチが(翻訳註:契約をかわしておらず)非公式あるいは無許可で写真を撮影していたとしても、Web Sheriffは写真の所有権をめぐる問題はクリアされないという。

「(もしカメラマンが)許可あるいは権限なく写真を撮影した場合、ライブを撮影した写真を商業的に利用できるかどうかという別の考慮/要因が発生します」とTFは伝えられた。

誰が何を所有しているのかという疑問は結局はっきりとはしていないが、もう1つ大きな疑問が残っている。いったいなぜ、この写真が著作権削除の標的にされたのか? 無理もない話だが、Web Sheriffはクライアントとの守秘義務に関わることとしてコメントを避けた。しかし、Google検索のなかに、そのパズルを解くヒントが隠されていた。

以下の画像を見る限り、ミンケヴィッチ氏がかつて撮影した写真は、バイラルなアクセル・ローズ「デブ」ミームの引き金になっている。もちろん、アクセル・ローズのように、ネタにされた人が残しておきたくはないという気持ちはわからないでもない。

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悲しいことに、他人の外見をからかうことは、インターネットの残念な一部分ではある。しかし、DMCA削除はそうした不利益を防ぐためのものではない。

最後に、Googleがこれら画像の削除要請に応じていないということも指摘しておこう。これらの画像は現在削除されておらず、アクセス可能な状態にある。つまり、Googleは、アクセル・ローズが写真の所有権を有しておらず、著作権はミンケヴィッチあるいはウィニペグ・フリープレスにあると判断したということだろう。

アクセル・ローズとは別に、ミンケヴィッチも、標的にされたBlogspot上の画像は、明確な侵害であると指摘する。しかし、おそらくアクセルの望むような主張ではない。

「いずれにしても、この写真はウィニペグ・フリープレスのウェブサイトから、ウィニペグ・フリープレスの許諾を得ずに、盗まれたものです。」

醜い? ああ、そう思うね。

“Axl Rose Sends DMCA Notices to Google Targeting ‘Fat’ Photo – TorrentFreak”

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: June 05, 2016
Translation: heatwave_p2p