欧州委員会はユーザ生成コンテンツ・プラットフォームに対し、ユーザのアップロードをフィルタリングするよう義務づける危険な提案をしている。これに対し、欧州のデジタル市民団体は、欧州のインターネットユーザに、ネット上の表現の自由を守るために立ち上がろうと呼びかけている。欧州議会議員に#CensorshipMachine(検閲マシン)を阻止し、「ミームを守る(save the meme)」ための行動を促すため、圧力をかけようというものだ。

昨年、欧州委員会はデジタル単一市場における著作権指令の草案を公表した。草案の13条では、「ユーザによってアップロードされた相当量の作品あるいはコンテンツを保持し、パブリック・アクセスを提供する」オンラインサービスプロバイダに対し、著作権侵害コンテンツをサイトから排除するために、コンテンツ・フィルタリングの実装を含む取り決めを著作権者との間で交わすよう義務づけている。

我々はこの草案の危険性著作権侵害のためにインターネットをフィルタリングすることの問題点についてこれまで何度も伝えてきた。フェアユース、そしてオンライン上の表現の自由にとって極めて危険な状況にあるといえる。

今週、欧州の2つの団体が、適法に著作物を使用する権利を守るため、この指令の草案から13条を削除するよう欧州議会に求めるキャンペーンへの参加を欧州インターネットユーザに呼びかけている。

オランダのBits of Freedomは、キャンペーンの一環として「ミームを守れ(save the meme)」というサイトを立ち上げ、、13条の削除に向けて行動するよう地元の欧州議会議員に伝えよう、と訴えている。この指令の草案が一般的かつ適法な著作物の使用(パロディや引用、ミーム)に大きな影響を及ぼすこと指摘しており、注目を集めている。また、地元の欧州議会議員に簡単に連絡するためのツールも提供している。

一方アクティビスト団体のXnetは、EFFやEDRiなど複数のデジタル権利団体の支援をうけてこちらのビデオを作成した。13条により、著作権者にインターネット上のさまざまな表現を検閲する権限を与えることになると警告している。

この草案を問題視しているのは、デジタル市民団体だけではない。学者研究機関欧州スタートアップ・コミュニティのメンバーからも、第13条への批判の声が上がっている。今月始め、この草案を審査する欧州議会の域内市場・消費者保護担当委員会(IMCO委員会:Committee on Internal Market and Consumer Protection)が、13条は電子商取引指令における「有限責任制度と矛盾する」として批判した。13条は「デジタル経済(及び)消費者のインターネットの自由に悪影響」を及ぼし、オンラインサービス市場全体を萎縮させる可能性があると警告。さらに、この草案がフィルタリング技術の実装を要求していることも批判しており、「フィルタリングの使用は、インターネットユーザを害する可能性がある。著作物が適法に使用されているケースは多いが、フィルタリング技術はそうした利用を十分に区別できていない」と説明している。

EU内で法制化される前に13条を止めるための時間はまだ残されている。この指令草案は、欧州議会の委員会による複数回の審査を経なければならず、さらに指令条文の摺り合わせのために欧州議会、欧州委員会、欧州議会による非公式の「三者協議」が行われ、その後、議会での審議が行われる。あなたが欧州市民であれば、savethememe.netに行き、13条を阻止するための行動を起こすことができる。そうでなければ、欧州の知り合いにこのリンクを伝えてほしい。
EU Internet Advocates Launch Campaign to Stop Dangerous Copyright Filtering Proposal | Electronic Frontier Foundation

Author: Kerry Sheehan / Electronic Frontier Foundation / CC BY 3.0 US
Publication Date: March 7, 2017
Translation: heatwave_p2p
Header Image: Jude Beck