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エジプト旅行に出かけたモナ・エル=マズボウは、まさかその地で刑務所に入れられることになるとは思いもしなかっただろう。この24歳のレバノン人観光客は、Facebookに自らが受けたセクシャルハラスメント被害を訴えるビデオを投稿した。彼女はそのなかで、エジプトは卑しく汚れた国で、その国民は「ポン引きと売春婦だ」と罵倒した。そして、彼女はカイロ空港で逮捕され、社会に害を及ぼし、宗教を攻撃し、公然と侮辱する虚偽の噂を意図的に広めたとして、禁錮8年の有罪判決がくだされた。


エル=マズボウがFacebookに投稿した10分間のビデオは、エジプト国内で大炎上した。エル=マズボウはビデオのなかで、ラマダン中のレストランのサービスの悪さや、所持品を盗まれたことについても訴えていた。このビデオに対しては、男女問わずエジプト国民から返信のビデオが投稿され、その多くは彼女を非難し、元のビデオを削除して改めてエジプト人への謝罪ビデオを投稿すべきだと主張した。

モナは5月31日、出国間際にカイロ空港で「社会に害を及ぼし、宗教を攻撃し、国民を侮辱することを意図した虚偽の噂を広めた」で逮捕された。エジプトの法律では、「エジプト国民への中傷・侮辱」は違法行為とされている。モナは当初11年の禁固刑を言い渡されていたが、弁護士が彼女は2006年に脳血栓の手術を行って以降、怒りをコントロールできなくなってしまったとの証拠を提出したことで、8年に短縮された。控訴審は7月29日を予定している。

不幸な目にあった観光客が、訪問した国の状況を批判するのは今に始まったことではない。オンラインであれ、ビデオであれ、オフラインであれ、紙に書くのであれ、何世紀にも渡って同じように不満を垂れてきたのである。この一件は、インターネット上の発言を、オフラインでの発言以上に厳しく処断するという不公正さに加え、彼女が決して意図したわけではない反応に対して、彼女を罰している。彼女自身が、その言動を広めようとしたわけでも、全国的な議論を引き起こそうしとしたわけでもない。怒れるコメンテーターの反応やソーシャルメディアのアルゴリズムが、そのビデオをバイラルさせ、怒りに任せたとっさの侮辱を大事にしたのである。

モナ・エル=マズボウへの有罪判決は、これまでアブドルファッターフ・アッ=シーシ軍人政権が行ってきた反体制派への弾圧――たとえばエジプトの活動家アマル・ファシーの拘束――の一例に過ぎない。これまでシーシ政権はいかなる抗議活動にもゼロ・トレランスの対応を続けており、法制度を民主化以前に逆行させ、表現の自由を狭め、非常事態令を発し、法的根拠のないままに数百人の反体制派を不当に拘束してきた。こうした政権による弾圧の多くは、「テロ対策」を口実に行われている。エジプトの表現の自由をさらに危機に陥れる反テロ・サイバーセキュリティ法案も、弾圧を正当化するためのものとして利用されるだろう。

モナ・エル=マズボウは、エジプト政府が国内のオンラインメディアの利用を制限し、コントロールしようとする試みに巻き込まれた無辜のインターネットユーザの1人に過ぎない。少なくとも、彼女の拘束を解き、ただちに帰国させねばならない。エジプトの指導者らに対しては、エジプト経済を支える外国人観光客を含め、多くの人々が害される前に、抑圧的な法律をヒステリックかつ恣意的な執行を直ちに止めることを求める。

Egypt Sentences Tourist to Eight Years Jail for Complaining about Vacation Online | Electronic Frontier Foundation

Author: MALIKA HUNASIKATTI (EFF) / CC BY 3.0 US
Publication Date: July 27, 2018
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: Walkerssk / CC0
カテゴリー: Freedom of Speech