Electronic Frontier Foundation

EFFはさまざまな市民権団体、環境権団体とともに、グリーンピースの砕氷船アークティック・サンライズ号に乗り込み、「言論の自由を脅かす悪意のある訴訟に、我々は屈することはない」というメッセージを発信した。

「我々には憲法があり、私たちは権利を有する。そして今、我々は手を取り合った」とグリーンピースのアニー・レナード事務局長は述べた。

9月5日、EFFは、SLAPPと呼ばれる恫喝訴訟に対抗する団体の連帯、「Protect the Protest」の立ち上げに加わった。この連帯には、EFFやACLU、グリーンピース、報道の自由財団、アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチが含まれる。

(左から)マザー・ジョーンズのモニカ・バウアーラインCEO、グリーンピースのアニー・レナード事務局長、レインフォレスト・アクション・ネットワークの広報責任者クリストファー・エレーラ、ウィキメディアの法律顧問ヤコブ・ロジャース、EFFの市民権担ディレクターのデヴィッド・グリーンが、グリーンピースの砕氷船アークティック・サンライズ号で市民権について議論した

SLAPPは、大企業や富裕層がジャーナリストや活動家、非営利団体、告発者らを黙らせるためにおこす悪意ある訴訟を意味する。その目的は、恫喝訴訟自体に勝利することではなく、司法制度を悪用し、そのSLAPPの標的の時間とお金を裁判に費やさせることにある。つまり、被害者の資源を奪い、言論の自由を萎縮させることを意図したものだ。

毎年、無数の米国人がSLAPPの被害に遭っている。

2014年から2016年にかけて、テクノロジーブログのTechdirtは、シヴァ・アヤドゥライ氏の電子メールの発明者だという主張に疑問を呈する複数の記事を公開した。さらにTechdirtは2016年に「これが真相:シヴァ・アヤドゥライがメールを発明したわけではない」というタイトルの記事を公表した。その数カ月後、Techdirtの創業者マイク・マズニック氏は、1500万ドルの損害賠償を請求する名誉毀損訴訟を起こされた。この訴訟とそれにかかる裁判費用は、マズニック氏の事業を脅かすものでもあった。

マズニック氏はこの訴訟について、「我々が行うあらゆることに影響した」と語っている。

昨年、カリフォルニア州ウィード市のボブ・ホール前市長は、市の水利権に立ち向かったことでSLAPPによる攻撃を受けた。ホール氏はローンチイベントの席で、攻撃により手を引かざるを得なくなったSLAPPの犠牲者たちに共感を示した。

「戦うだけの経済的余裕がないという理由で、どれほどの正義や道理が打ちのめされてきたことか」とホール氏は言う。

「Protect the Protest」の立ち上げイベントでスピーチしたSLAPP被害者たちは、自分たちがどれほど幸運であったかを訴えた。壇上の彼らは、一緒に戦ってくれる弁護士に出会い、専門家の援助を受け、コミュニティからの支援を受けることができたが、多くのSLAPPの犠牲者たちは、訴訟費用や恫喝に打ちのめされ、沈黙を強いられてきたのだという。

そのような孤立した個人や組織を助けるために、Protect the Protestは立ち上げられた。

もはやSLAPPは人知れず戦われるものではなくなる。もはやSLAPPの標的が孤立することはない。我々は一致団結して修正第1条を守っていく。もし我々の組織の1つがSLAPPの標的にされたならば、Protect the Protestはそのような悪意に満ちた攻撃を社会に声高に訴えていく。グリーンピースのレナード氏は、もしこの取り組みが有効であれば、SLAPPはもはや「市民参加を排除するための戦略的訴訟(Strategic Lawsuits Against Public Participation)」ではなく、「市民参加を加速させるための戦略的訴訟(Strategic Lawsuits Accelerating Public Participation)」になるだろうと話す。我々の抵抗が十分なものであれば、修正第1条の反対派は、もはやSLAPPによる恩恵を享受することができなくなり、組織や個人を傷つけるこうしたやり口を終わらせることができる。

EFFはこれまでも、Protect the Protestを実践してきた。我々はSLAPPに直面している個人に代わって訴訟を戦い、法的支援を提供するための援助を行い、何度も何度も強力な反SLAPP連邦法の制定を訴えてきた。

インターネットでは、所得や資産、社会的地位にかかわらず、あらゆる人々に公共の議論に参加する機会が与えられなくてはならない。そのためには、誰もが法的な脅威を恐れることなく、自由に話せる環境でなくてはならない。我々の憲法は、オンライン、オフラインの双方で言論の自由の権利を保障しているのだ。

EFFの市民的自由担当ディレクターのデイビッド・グリーンはこのイベントのなかで、組織とコミュニティがともに立ち上がった重要な瞬間だと話す。

「私たちは、この組織の一員であることを常に意識し、孤立した人々をいつでも支援する体制を整える義務がある」とグリーンは言う。

EFFはProtect the Protestの一員として、その組織と支援の提供にコミットしていく。

EFF Helps Launch Anti-SLAPP Task Force ‘Protect the Protest’ | Electronic Frontier Foundation

Author: David Ruiz (EFF) / CC BY 3.0 US
Publication Date: September 14, 2018
Translation: heatwave_p2p