以下の文章は、電子フロンティア財団の「During Pride Month and Always, Companies Must Consider the Impact of Their Policies on LGBTQ+ Users」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation

今月(訳註:6月)、世界各地のLGBTQ+コミュニティがプライドを祝っている。テック業界はオンラインでもオフラインでも、コミュニティへの支持を表明するリップサービスに余念がない。多くのソーシャルメディア企業がプライド・パレードに参加し、コミュニティへの支持を表明する写真フィルタやデジタルアイコンを配布するなどしている。とはいえ、企業によるプライドへの参加を誰もが歓迎しているわけはない。たとえばサンフランシスコでは、活動家らがGoogleのプライドへの参加に反対の声を上げている。(Goolgeの所有する)YouTubeが同プラットフォーム上で行われた著名なゲイ・ジャーナリストへのハラスメントを削除しなかったためだ。

企業のプライドへの参加をどう捉えるかは別にしても、ソーシャルメディア企業のポリシーが、しばしば彼らの表明する支持と矛盾していることを指摘しなくてはなるまい。過去にFacebookは、その実名ポリシーや、レズビアン自身がリクレイム(訳註:言葉を取り戻す)のために用いた「dyke(レズビアンの蔑称)」という言葉を禁止する(しかし一貫性を欠いた)ポリシーをLGBTQ+グループから批判された。つい昨年にも、Facebookは(SESTA/FOSTAの影響を受けたとみられる)「性的勧誘」を禁止する新ポリシーを発表したことで批判を浴び、たとえばPink Newsは、ユーザが自らの性的嗜好を自由に議論することをたとえプライベートグループであっても妨げるものだと指摘している。さらに性教育者たちは、このポリシーよってLGBTQ+コミュニティが安全なセックスについてオープンに話し合うことを制限していると指摘する。これはあり得るという仮定の話ではない。Instagramは昨年のポリシー変更後、教育的アカウントのThe Vulva Galleryを一時的にロックしている(このアカウントは後に復旧した)。セクシュアリティについて議論するコンテンツは、しばしば性的すぎるとみなされており、我々はLGBTQ+ユーザがこれらポリシーの影響を不釣り合いなほどに受けていると考えている。

もちろん、Facebookだけに限った話ではない。2018年にTumblrが性的コンテンツ・ヌードを全面的に禁止したことは、長らく同プラットフォームを議論と団結の場として利用してきたLGBTQ+コミュニティに深刻な影響を及ぼしている。Twitterのハラスメント防止ポリシーは、ハラスメントの加害者ではなく、そのポリシーが本来保護するはずのハラスメントの被害者を標的にすることもしばしばある。また、YouTubeはトランスジェンダー向けの補装具メーカー「Transthetics」のアカウントを凍結している(これも後に撤回)。その結果、トランスジェンダーが現実世界における自分自身の見方を大きく変えうる製品との出会いが失われることになったかもしれない。

多くの企業が、SESTA/FOSTAの影響や株主、広告主、あるいはその他の理由の結果として、セクシャルな発言を制限する方向に進みつつある。彼らは真の連帯者としてどう振る舞うべきかを学び、自らのポリシーとその運用が、支援を表明しているはずのコミュニティにどのような影響を及ぼすのかをよく考えなくてはならない。

During Pride Month and Always, Companies Must Consider the Impact of Their Policies on LGBTQ+ Users | Electronic Frontier Foundation

Author: Jillian C. York (EFF) / CC BY 3.0 US
Publication Date: June 25, 2019
Translation: heatwave_p2p
Header Image: Jasmin Sessler