世界中のデジタル権・人権団体がEUデジタルサービス法の軌道修正を強く要請

以下の文章は、電子フロンティア財団の「New Global Alliance Calls on European Parliament to Make the Digital Services Act a Model Set of Internet Regulations Protecting Human Rights and Freedom of Expression」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation

欧州議会のテクノロジー／インターネットへの規制や政策決定は、他に類を見ないほどグローバルな影響力を持っている。大きな影響力には、大きな責任が伴う。欧州議会は、欧州インターネット規制の20年ぶりの大改修となるデジタルサービス法（DSA）で模範を示すべき義務を負っている。DSAは人権保護、言論・表現の自由、プライバシーとセキュリティを損なうことなく、ヘイトスピーチ、誤情報、大規模プラットフォームでのコントロールの欠如といった難題に対処できることを示さなくてはならない。

これら原則のバランスをとるのは確かに難しい。だが、そうしなければならないのである。間違った方向に一歩でも進めば、その影響は世界中に波及し、欧州連合の垣根を超えて人権に悪影響を及ぼすだろう。そのため、透明性、説明責任、人権を中核とした立法を求める世界中の12の市民社会団体が、「デジタルサービス法・人権アライアンス」を結成した。その目標は、インターネットプラットフォームガバナンスのグローバルスタンダードを確立・促進することである。このアライアンスは、アラブ諸国、欧州、国連加盟国、メキシコ、シリア、米国など世界各地の多様なコミュニティを代表するデジタル権・人権擁護団体で構成されている。

アライアンスは目標への第一歩として本日、欧州議会に対し、DSAに人権フレームワークを盛り込み、すべての人――特に周縁化されたコミュニティの情報アクセスの保護、過剰削除を招き、表現の自由を侵害する柔軟性のない非現実的な削除義務の拒絶、人権への影響評価義務を強化し、アルゴリズムの誤った意思決定などの問題が実際の被害が生じる前に特定できるようにすることなどを求める。

今回の呼びかけは、欧州議会の影響力のある委員会で、人権と表現の自由を脅かす一線を越えた修正案が承認されたことを受けてのものである。これらの修正案が提出される以前には、EFFをはじめとする市民社会団体は、DSAはインターネット・エコシステムの最も差し迫った課題に対処するもので、正しく実施されれば、オンライン上の人権をより良く保護するために比類ない機会を提供するものであると評価していた。

だが、欧州議会のある委員会の9月の採決で、コンテンツ・モデレーションやキュレーションといった基本的機能を担うインターネット企業の免責を制限し、ユーザの通信を分析して無差別に監視し、アップロードフィルターの使用を企業に強制し、トラステッド・フラッガーとして認められた政治家や著名な公人に、一般ユーザにはない特権を与えるという間違った方向に進んだことに失望している。

アライアンスは本日、共同書簡の中で欧州議員に対し、DSAを軌道修正するため以下の措置を講じるよう要請した。