以下の文章は、Fight for the Futureの「Fight for the Future condemns Facebook for banning abortion defenders, calls for the preservation of Section 230’s protections for the reproductive justice movement」という記事を翻訳したものである。

Fight for the Future


昨日、Motherboardのジョセフ・コックスとジョーダン・ピアソンは、中絶薬の郵送を申し出たユーザのアカウントを凍結し、中絶薬は郵送可能だと主張する投稿を削除していると報じた。以下は、デジタルライツ団体 Fight for the Futureのキャンペーン&コミュニケーションディレクターのリア・ホランド(they/she)の声明である。

「抑圧的な出産強制法に基づく訴訟をおそれたためか、Facebookは中絶薬を必要とする妊婦に中絶薬を送付すると投稿した人々を凍結している。

郵送しても良いはずの)中絶薬は、ロー判決撤回後の状況において極めて重要な役割を果たす。この簡便、安全かつ有効な薬は、中絶が現在または近い将来に犯罪化される20以上の州に住む妊婦の命を救い、生殖の自己決定権(reproductive autonomy)をある程度は回復させるものである。

昨夜、私のInstagramアカウントで、「暴力的または生々しい」とされた画像が検閲されているのに気づいた。年齢確認ボタンをクリックすると、その画像は「中絶は人権である」と書かれたアムネスティ・インターナショナルの抗議プラカードを掲げた手の写真であった。

Facebookによるリプロダクティブ・ヘルスケア情報やアドボカシーの検閲は、230条を修正・廃止しようとしてきた民主党への重い警告として受け止められなければならない。ポスト「ロー」の世界では、プラットフォームは訴訟をおそれ、中絶医療とその支援へのオンラインアクセスを遮断することによって、責任を逃れようとするのだから。

私たちは以前にもこのようなオンライン検閲を経験している。2018年のSESTA/FOSTAは、セックスワーカーが顧客を選ぶためのツールを潰し、互いにコミュニケーションするためのプラットフォームから彼らを排除することにつながった。その結果、多くのセックスワーカーはリスクの高い環境に追いやられることになった。この悪しき法律は、セックスワーカーを死に追いやっているのだ

民主党は「ビッグテックを罰する」との名の下に、230条がもたらす言論の自由の保護を弱体化させようとしている。だが、その方針を変更しなければ、プラットフォームによる検閲を促し、(訳注:中絶アクセスへの)支援が絶たれ、さらに命に関わる結果をもたらすことになるだろう。民主党が支持するEARN IT法プラットホーム説明責任と消費者透明性法SAFE TECH法悪意あるアルゴリズムに対する正義法などによって表現の自由は抑制され、オンライン空間でのリプロダクティブ・ジャスティス運動は事実上終わりを告げるだろう。ポスト「ロー」の世界では、中絶のサンクチュアリとなる州や避妊の選択肢に関する情報は削除され、自動的に検閲されることになる。中絶資金を募る寄付も処理されなくなる。LGBTQ+の書籍や、ジェンダー・アファーミング医療に関する情報も、そのすべてが同様に扱われることになってしまうだろう。

民主党は現実を直視しなくてはならない。どれほど崇高な意図があろうとも、230条を変えようとする試みは、数十年にわたって道徳訴訟を起こしてきたキリスト教右派の検閲推進ファシストたちを利するだけなのだ。

Facebookの行動は、ビッグテック企業が表現の自由の擁護者として信頼に値しないことを改めて明らかにした。もし230条が縮小・撤廃されることになれば、Facebookを始めとするテック企業は、とりわけ周縁化されたコミュニティが必要とするリソースや支援をアルゴリズムによって検閲することになるだろう。

Facebookによるリプロダクティブ・ヘルスケア投稿の削除は許しがたいものであるが、それも氷山の一角にすぎない。230条がなければ、あらゆるウェブホスティングサービス、CDN、決済サービス、クラウドファンディングサイト、ソーシャルメディアプラットフォームは、無数の反中絶訴訟の標的にされてしまうのである。

デジタル・インフラは、私たちの生活や医療に不可欠な存在となっている。230条を修正するということは、それが抑圧のための武器に生まれ変わることを意味するのである」

Fight for the Future – Fight for the Future condemns Facebook for banning abortion defenders, calls for the preservation of Section 230’s protections for the reproductive justice movement

Author: Fight for the Fiture
Publication Date: June 28, 2022
Translation: heatwave_p2p
Material of Header image: Nathan Dumlao