以下の文章は、電子フロンティア財団の「Copyright Is Not a Tool to Silence Critics of Religious Education」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation

著作権法は批判者を罰したり沈黙させたりするためのものではない。これはフェアユースの根本原則であり、通常、批評に必要な場合は他者の創作物の複製を認めている。しかし時として、悪質な権利者が著作権法を悪用し、批判者を黙らせようと根拠のない訴訟を起こす。発言をやめなければ莫大な個人的責任を負わせると脅すのだ。そこでEFFは、インディアナ州の親、ザカリー・パリッシュ氏をLifeWise, Inc.による著作権侵害訴訟から守ることにした。

LifeWiseは、公立小学校の児童向けに、物議を醸す「リリースタイム」宗教教育プログラムを提供している。これは授業時間中に行われるものだ。パリッシュ氏は娘の通う公立学校でこのプログラムに出会い、「Parents Against LifeWise」を共同設立した。この団体は、LifeWiseのプログラムがもたらすと考える害悪について、人々に啓発し警鐘を鳴らすことを目指している。他の親がLifeWiseプログラムへの子どもの参加を十分な情報を基に判断できるよう、パリッシュ氏はLifeWiseの小学校向けカリキュラムのコピーを入手した。このカリキュラムは、講師と登録済みの生徒以外には非公開とされていたものだ。パリッシュ氏はこれをParents Against LifeWiseのウェブサイトに掲載した。すると、LifeWiseはウェブサイトのホスティングプロバイダに著作権侵害の申し立てを行い、カリキュラムの削除を求めた。さらには、パリッシュ氏に対して侵害訴訟まで起こしたのである。

EFFは、パリッシュ氏を黙らせようとするLifeWiseの根拠なき試みを却下するよう申し立てを行った。裁判所に説明したように、パリッシュ氏によるカリキュラムの掲載は、フェアユースの典型例だった。フェアユースとは、パリッシュ氏のような批評家が著作物の内容について論評し、批評し、他者に教育することを可能にする重要な法理だ。興味深いことに、LifeWise自身の訴状が、なぜパリッシュ氏の行為がフェアユースに該当するかを示している。「彼の目的は、情報と内部文書を集め、LifeWiseの評判を損なうかもしれない情報をオンラインで公開し、地域社会でのLifeWise Academyの支部に反対するよう親たちを結集させることだった」。これこそ、著作権法が保護する公共の利益のための擁護と教育活動そのものだ。さらに、パリッシュ氏の目的は非営利的だった。LifeWiseに取って代わったり競合したりする意図はなく、他の親たちにこのプログラムへの子どもの参加を慎重に検討するよう促すためにカリキュラムを公開したのだ。そして、このカリキュラムの公開はLifeWiseに害を与えない。少なくとも、著作権法が対処しようとしているような意味では害とならない。映画評論家が酷評の一部として映画のシーンを使用することを著作権が妨げないのと同様、懸念を抱く親が、実際のプログラム内容を示すことで、議論の的となる宗教学校プログラムについて他の親たちに啓発することも妨げられないのだ。

フェアユーザーに対する著作権訴訟の早期棄却は極めて重要である。フェアユースは確かに、パリッシュ氏のような批判や主張といった多くの重要な表現の自由を保護している。しかし、その保護のために戦うことは、経済的に破滅的で、萎縮効果をもたらしかねない。民事訴訟の高額な費用と、場合によっては1作品あたり15万ドルにも達する法定損害賠償金の危険性は、潜在的なフェアユーザーを萎縮させる。侵襲的な法的手続きと経済的破綻を恐れ、自己検閲をもたらすおそれがあるのだ。

早期棄却には重要な意味がある。著作権者が高額で危険な訴訟の脅しを使って批評家を沈黙させ、自らの作品に関する公共の議論をコントロールすることを防ぐのだ。また、表現の自由の権利は、裁判で戦うための資金力や、EFFのような団体からの支援の有無に左右されないというメッセージを発信することにもなるだろう。もちろん我々は喜んで支援するが、本来なら、このような問題で誰もが我々の助けを必要としない世界こそが理想だ。

社会が批評的な意見とそれによって生まれる公共の対話の機会を失えば、我々全員が損失を被ることになる。だからこそ、裁判所は著作権法を批評や論評を封じる道具として使うことを許してはならないのだ。我々は、この件でも裁判所がそのような判断を下し、LifeWiseのパリッシュ氏に対する根拠なき訴えを棄却することを望んでいる。

Copyright Is Not a Tool to Silence Critics of Religious Education | Electronic Frontier Foundation

Author: Mitch Stoltz and Tori Noble / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: August 28, 2024
Translation: heatwave_p2p
Material of Header image: Cornelis Galle