以下の文章は、電子フロンティア財団の「EFF to Fifth Circuit: Age Verification Laws Will Hurt More Than They Help」という記事を翻訳したものである。
EFFは木曜日、ACLUおよびミシシッピ州ACLUと共同で、連邦控訴裁判所に意見書を提出した。この意見書は、インターネット全体のソーシャルメディアサービスに年齢認証を義務づけるミシシッピ州法 HB 1126の施行阻止を求めるものだ。
第5巡回区控訴裁判所に提出されたこの意見書で、我々はHB 1126を「すべてのインターネットユーザの憲法上保障された表現の自由とアクセスの権利を侵害する、前代未聞の検閲法」と批判している。
HB 1126は、ソーシャルメディアサイトに全ユーザの年齢確認を強制し、未成年者のオンライン空間へのアクセスに親の明示的な同意を要求する。さらに、広範かつ曖昧に定義されたトピック(その多くが憲法で保護された表現に関わる)について、コンテンツの監視・検閲を促す。これらの包括的な条項は、自由でオープンなインターネットに対する重大な障壁となり、「成人も未成年者も、オンラインで自由に表現するために匿名性、プライバシー、セキュリティを犠牲にすることを強いられる」。連邦地方裁判所はすでにHB 1126の発効を差し止めており、修正第1条違反の可能性が高いと判断した。
若者を重要なオンライン空間から締め出す危険性
我々がHB 1126に反対する最大の理由は、若者の表現の自由に深刻な影響を及ぼすためだ。未成年者も成人と同じように、オンライン表現にアクセスし、それに参加する憲法上の権利を有している。
「未成年者が目にする可能性があるという理由で、成人の政治的、宗教的、教育的、芸術的な表現へのアクセスを制限的な年齢認証制度で制限することを認める法的根拠は存在しない。同様に、HB 1126が規制対象とするような一般的なインターネットサイトで、未成年者の保護された表現への参加を全面的に禁止することを認める法的根拠も存在しない」
ソーシャルメディアサイトは単なる娯楽の場ではない。若者が自分のアイデンティティを探求できる多様かつ重要な空間だ。アートの創作や共有、宗教の実践、政治への参加などを通じて、若者は自己を形成していく。我々の意見書が指摘するように、未成年者のこれらのオンライン空間へのアクセスは「自分の考えを育て、自己表現を学び、民主的な公共圏で他者と建設的に関わる力を養うため、成熟した社会の一員として成長する上で不可欠」なのだ。
ソーシャルメディアは「これまで声を上げる機会のなかった人々が、重要で時には命を救うつながりを作り、独自の視点をより広く共有することを可能にしている」。例えば、LGBTQ+の若者はコミュニティや支援、自己探求の場としてソーシャルメディアを活用している。他にも、メンタルヘルス、障害、摂食障害、家庭内暴力について語り合うフォーラムで助けを見つける人々もいる。
HB 1126の年齢認証制度は、若者とこれらの重要なリソースの間に不必要な障壁を作り出す。この法律は、プラットフォームにミシシッピ州が未成年者にとって「有害」とみなす曖昧なトピック(その大半が憲法で保護された表現に関するものだ)への未成年者のアクセスを広く制限することを強制する。
修正第1条の権利:すべての人のための保護
HB 1126の影響は未成年者だけにとどまらない。年齢認証の義務づけは、成人の表現にも不当で違憲な制限を課すのだ。この法律は、ソーシャルメディアにアクセスする前にすべてのユーザに年齢認証を要求する。これにより、政府発行のIDを持たない数百万人の米国成人のアクセスが完全に遮断されるおそれがある。毎日公共交通機関を利用している人が、単にオンラインにアクセスするためだけに運転免許証を取得しなければならなくなるのだろうか。自分のオンライン活動のすべてが政府発行のIDと紐づけられることを望む人がいるだろうか。
HB 1126はさらに、ユーザからオンラインでの匿名性の権利を奪い、暴露やハラスメントのリスクにさらし、ソーシャルメディアでの自由な発言を萎縮させる。我々の意見書が指摘するように、インターネットユーザの大多数がデジタルフットプリントを最小限に抑え、「特定の個人、組織、政府による監視を避けるための対策」を講じている。
「HB 1126は、ユーザのオンライン活動を強制的に現実世界の身元と結びつけることで、反対意見の表明、センシティブや個人的、論争的、あるいはスティグマ化された内容についての議論、オンラインコミュニティへの助けの求めといった行為を躊躇させることになる」
オンライン年齢認証:プライバシーの悪夢
最後に、HB 1126はソーシャルメディアサイトにユーザの最もセンシティブかつ不変のデータを収集させることで、ハッカーにとって格好の標的を作り出す。データ侵害や個人情報の盗難が日常茶飯事となっている今日、HB 1126はすべてのユーザの個人データを危険にさらす。さらに、年齢認証のプロセスはしばしばユーザデータの収集と販売で利益を得る第三者サービスを介して行われる。これは、IDに記載された氏名、住所、生年月日といったセンシティブな個人情報が、データブローカーや広告主、その他の仲介業者のネットワークで共有される可能性があることを意味する。
「HB 1126の条文上、これらの仲介業者はユーザの識別データを削除する義務を負わず、オンラインサービスプロバイダ自体とは異なり、その機密データの共有、開示、販売を制限されていない。むしろ、インセンティブは逆に働き、データを広く共有することが奨励される」
未成年者も成人も、オンラインで表現の自由を行使するために、プライバシーや匿名性を犠牲にすべきではない。
各地の裁判所がミシシッピ州法のような法案を阻止
HB 1126のようなオンライン年齢認証法は目新しいものではない。全国の裁判所は一貫してこれらを違憲と判断してきた。アーカンソー州からオハイオ州、ユタ州に至るまで、裁判所は保護された表現へのユーザのアクセスと参加の権利を侵害するとして、類似のオンライン年齢認証義務を無効としてきた。
ミシシッピ州が子どもを危害から守る正当な利益を持つことは認められるが、最高裁判所が判示したように、「それは子どもが接する可能性のあるアイデアを制限する制約のない権限を含むものではない」。HB 1126のような法律は、すべてのユーザに年齢認証を強制することで、未成年者と成人の双方の修正第1条の権利を侵害し、深刻なプライバシーとセキュリティの脅威をもたらし、ユーザが我々の時代の最も強力な表現媒体の一つにアクセスすることを躊躇させる。
これらの理由から、我々は第5巡回区控訴裁判所に対し、先例に倣ってミシシッピ州HB 1126の阻止を継続するよう要請する。
EFF to Fifth Circuit: Age Verification Laws Will Hurt More Than They Help | Electronic Frontier Foundation
Author: Molly Buckley / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: October 4, 2024
Translation: heatwave_p2p
Material of Header image: clearrants (CC BY-NC 2.0)