以下の文章は、電子フロンティア財団の「Executive Order to the State Department Sideswipes Freedom Tools, Threatens Censorship Resistance, Privacy, and Anonymity of Millions」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation

トランプ政権発足からわずか数週間、我々は広範で混乱を招く、そして違憲の可能性が高い大統領令の数々を目の当たりにしてきた。中には、すでに深刻な人道的影響をもたらしているものもある。EFFはデジタルライツに関わるこれらの動向を注視している。

現在、我々が特に懸念しているのは、世界中の市民がプライバシーと匿名性を守るために活用する、自由のためのツールに直接的な影響を及ぼす大統領令である。EFFにとってこの問題は看過できない。1990年代の暗号戦争以来、検閲と戦い、プライバシーを保護し、匿名性を保護するテクノロジーの開発と普及を促すべく、我々は活動してきた。

米国対外援助の再評価と再編成と呼ばれるこの大統領令により、国務省は民主主義・人権・労働局を通じて展開してきたプログラムを含め、米国内および世界各地数百もの組織との契約をただちに停止した。ここには、暗号技術を駆使して検閲に対抗し、何百万もの人々のプライバシーと匿名性を守る自由のためのテクノロジーも含まれる。国務省は一部に限定的な適用除外を認めたものの、オープンソースのインターネットの自由のためのテクノロジーは対象外となっている。その結果、多くのプロジェクトが活動の停止や縮小を余儀なくされ、優秀な人材の解雇や開発の中断・減速という事態に追い込まれている。

自由のためのテクノロジーは数多く存在するが、EFFのコミュニティにもなじみ深いものからいくつか挙げよう。まずTor Project――追跡を恐れずに、プライバシーを保ちながらセキュアなインターネット閲覧を可能にし、検閲を回避するツールだ。次にGuardian Project――不正な侵入や傍受、監視から個人データを守るためのプライバシーツール、オープンソースソフトウェアライブラリ、カスタマイズ可能なソフトウェアソリューションを提供している。またOpen Observatory of Network InterferenceOONI)は2012年以来、世界各国の政府による検閲の実態を精緻に記録し続けている。さらにOpenArchiveが開発したSave Appは、モバイルメディアのセキュアなアーカイブ、検証、暗号化を実現し、Internet Archiveや分散型ウェブストレージへの保存を支援するモバイルアプリである。

我々は、これらの自由のためのツールやテクノロジーへの支援停止が一時的な見落としに過ぎないことを願っている。より冷静な検討を経て、これらのプロジェクトが完全に復活することを期待したい。これらのツールはイラン、ベネズエラ、キューバ、北朝鮮、中国をはじめとする国々で、まさに現政権の外交政策が目指す自由のために活動する人々を支えているからだ。検閲を回避し、表現を守り、人権侵害を記録し、プライバシーと匿名性を維持する――この取り組みは、文字通り人命を救っているのである。

米国政府の資金援助は、これらの組織が地道な技術開発と保守を続け、必要とする人々の手元にツールを届けることを可能にしてきた。これは米国政府の利益に適うものであり、今後もそうあり続けるはずだ。残念ながら、他の資金源での代替は容易ではない。技術者たちは誰よりもよく知っている――これらのツールを稼働させ、利用可能な状態に保つには、優秀な人材による献身的で継続的なサポートが不可欠だということを。

このような活動が、いかなる政権であろうと、米国政府の優先事項と合致しないなどとは考えにくい。検閲との戦いを掲げ、同様のプライバシーと匿名性保護技術を用いる暗号通貨などのデジタルテクノロジーへの支援を強調してきた現政権においては、なおさらである。これらの組織は、テクノロジーを通じて世界の自由を守るという使命のもとに存在している。

我々は新政権に対し、インターネットの自由を支えるこれらの重要なツールへの支援再開を強く求めるものである。

Executive Order to the State Department Sideswipes Freedom Tools, Threatens Censorship Resistance, Privacy, and Anonymity of Millions | Electronic Frontier Foundation

Author: Corynne McSherry and Cindy Cohn / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: January 30, 2025
Translation: heatwave_p2p