以下の文章は、電子フロンティア財団の「Rep. Finke Was Right: Age-Gating Isn’t About Kids, It’s About Control」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation

ミネソタ州のリー・フィンケ議員が先月、ミネソタ州下院商業・財政・政策委員会に出席し、インターネット全体への年齢制限を義務づける法案、HF1434への反対証言を行った。彼女は意表をつく言葉から切り出した――この法案への賛意だ。

PCのモニターに描写されたトランスジェンダーフラッグを見つめるシルエット。モニターの背後には多数の眼が並び、そのシルエットを見つめている。

「この法案の基本的な部分は支持したい」。彼女がそう述べたのは、彼女もまた、ネット上で若者を守りたいからだ。若者の安全を願うこと自体に異論はない。だが、ミネソタ州が提案するHF1434は、「子供を守る」ものではない。この法案は、修正第1条が保障する言論を掲載するウェブサイトに対し、成人と若者の双方に政府発行のIDや生体認証データを通じたユーザの本人確認を義務づける。以前も議論したように、法案が「未成年に有害」とみなす言論の定義は悪名高いほど広範であり、性的指向、性の健康、性自認に関する合法かつ非ポルノ的な言論さえその網に引っかかる。

トランスジェンダーであることを公表しているフィンケ議員はさらに、彼女の批判者たちが歪曲し続けている論点を提起した――ミネソタ州の法案のような年齢確認法が、若いLGBTQ+の人々が教育的・肯定的[affirming]・生命の危機を救う情報にアクセスする修正第1条の権利を侵害するために、すでに利用されているという点だ。最高裁のFree Speech Coalition v. Paxton裁判に言及しながら、彼女は各州の司法長官がこれらの法律をクィアな若者のコアクセス制限に活用できることを「おおむね歓喜している」と指摘した。そして、「『わいせつな興味』とは、多くの人にとって、トランスジェンダーの子供たちの存在そのものを指すおそれがある」として、どのようなコンテンツを年齢制限の対象とするかを定める法的基準が恣意的に運用されうる点について懸念をあらわにした。

しかし、その主張を裏づける長年の証拠があるにもかかわらず、フィンケ議員は数多くのメディア宗教系擁護団体からの攻撃の波にさらされてきた。フィンケ議員の証言は何度も何度も、若者の利益を念頭に置いていないと曲解され、バッシングされている。だが、彼女はLGBTQ+の若者が置かれた現実を正確に描写し、彼らに不可欠なリソースとコミュニティへのアクセスを守ろうとしているにすぎない。

むしろ、このバッシング自体が彼女の主張の正しさを証明している。クィアの声を封じ、他の議員が法案に反対することを萎縮させようとするだけでなく、年齢確認義務化が、若者のオンラインでの言論・読書・閲覧に対する政府の支配を大幅に強化しようとする一連の動きの一端であることを、この反発は露わにしている。

フィンケ議員が指摘したように、こうした提案は政策としても問題がある。若者全体がオンラインでコミュニティを見つける機会を奪い、若者と成人双方の修正第1条の権利を侵害するのだから。

FSC v. Paxton の意味するもの

フィンケ議員がPaxton判決を取り上げたのは適切だった。この判決が生み出した懸念すべき最高裁判例に加え、テキサス州の年齢確認法は、反LGBTQ+団体から異例なほど多数の法廷助言書(その一部 南部貧困法律センター[SPLC]によってヘイトグループに指定されている)という熱烈な支援を引きつけた。

FSC v. Paxtonにおいて、最高裁はコンテンツの3分の1以上が「未成年に有害」とみなされる性的素材――主に露骨な性的コンテンツを意味する――であるサイトに対し、テキサス州が年齢確認を義務づけることを認可した。未成年には露骨な性的コンテンツへのアクセスにおける修正第1条の権利がないという論拠に基づくこの判決は、合法的な言論への成人のアクセスを遮断し、匿名性を損ない、データのセキュリティとプライバシーを危険にさらすような厳格な年齢確認規則の制定を各州に許す。これらは成人に対する現実かつ甚大な負担であり、テキサス州の法律を支持してこれらを無視した最高裁の判断は誤りだ

だが、他の州が制定した法律とミネソタ州HF1434は、テキサス州法をさらに超える。性的コンテンツへのアクセス制限にとどまらず、これらの提案は「未成年に有害」とみなされる言論を、性、セクシュアリティ、ジェンダー、リプロダクティブヘルスに言及するあらゆる言論にまで拡張しようとしている。しかし、若者にはそれらのトピックについて発言し、オンラインで情報にアクセスする修正第1条の権利がある

我々はあらゆるオンライン年齢制限に反対し続けるが、ミネソタ州のHF1434のように、自分の身体、セクシュアリティ、その他の真実の情報についての言論へのアクセスを若者から奪おうとする法案は、とりわけ有害だ。

EFFとフィンケ議員の立場は一致している――年齢確認義務化は修正第1条の権利プライバシーの権利、そしてオンライン上の安全とセキュリティに深刻な害をもたらす。さらにこれらの提案は、LGBTQ+の若者がしばしば他では得られない情報をインターネットに依存しているという現実を完全に無視している。

だがPaxton判決と、それを支持する連合は、これらの法律がいかに武器として利用されうるかを正確に示している。彼らはただ若者のオンラインプライバシーを守るために立ち上がったのではなかった――実際にはLGBTQ+コンテンツを含む可能性のある素材から未成年を「守る」ことが重大な国益であると主張するために、そこにいたのだ。究極的には、ポルノサイトだけでなく、性、セクシュアリティ、ジェンダー、リプロダクティブヘルス、人工妊娠中絶などについて論じるあらゆるコンテンツに年齢制限をかけることを彼らは望んでいる。

検閲を実現する道具としての子供たち

テキサス州の年齢確認法を支持する法廷助言書を提出した団体の顔ぶれは、オンラインでの情報アクセスを立法規制しようとする真の意図――検閲、監視、そしてコントロール――をありありと物語っている。インターネット年齢制限の動きが純粋に子供の安全のためなら、最も熱心な支持者は子供の発達の専門家やプライバシー擁護団体であるはずだ。ところが実際に声高に訴えているのは、セクシュアリティの取り締まり、LGBTQ+やリプロダクティブ・ライツへの攻撃、自らの世界観に合わないものの検閲に専念する組織ばかりだ。

年齢制限運動を後押しする組織が推進する有害な活動のいくつかと、それが今日のフィンケ議員への攻撃にどう反響しているかを以下に示す。

セクシュアリティ、身体の自律、リプロダクティブ・ライツ狩り

年齢確認法を支持する多くの組織は、正確な性の健康情報とリプロダクティブケアへのアクセスを制限しようと、何十年も費やしてきた。

たとえば、最高裁の当該訴訟でテキサス州司法長官の支持を表明する助言書を提出したExodus Cryは、ポルノグラフィーを広範な道徳的危機の一部として位置づけている。Exodus Cryは「キリスト教支配主義者」の活動家によって設立され、ポルノとセックスワークの犯罪化を主張し、「性的不道徳」を男女一対の婚姻関係以外のあらゆる性的行為と定義する世界観を広めている。その指導部はインターネットを「ポルノ化された世界」の戦場と表現している。年齢確認法を支持する助言書は、 SPLCからヘイトグループ指定されているPublic Advocate of the United StatesやAmerica’s Futureなど複数の団体からも提出された。America’s Futureは「社会における信仰の役割を活性化する」ために設立された組織であり、トランスジェンダーのスポーツ参加禁止を強く推進している。

こうした団体が年齢確認法を好む理由ははっきりしている。性に言及するあらゆるコンテンツへのアクセスを、若者のみならず何百万人もの成人に対しても遮断できる法的メカニズムを生み出してくれるからだ。

LGBTQ+の権利への攻撃

年齢確認法を熱烈に支持する団体のいくつかは、LGBTQ+平等を求める運動への十字軍においても先頭に立ってきた。こうした団体が望むインターネットとは、重要かつ命にかかわるLGBTQ+のリソース、コミュニティ、情報が徹底的に検閲されたインターネットである。

たとえばAlliance Defending Freedom(ADF)(これも SPLCによるヘイトグループ指定を受けている)は、同性カップルへのサービス拒否を認める訴訟海外での同性愛関係の犯罪化トランスジェンダーの権利の制限を目的とした訴訟を通じて名声を築いた。

さらにThem Before UsとWomen’s Liberation Frontという2つの団体がある。どちらもテキサス州司法長官を支持する法廷助言書を提出し、米国でのLGBTQ+の権利の転覆に専念している。Them Before Usは「大人の欲求やアジェンダより子供の権利と幸福を優先することにコミットしている」と主張しているが、同時に、同性婚の権利を認めた2015年の最高裁判決「Obergefell」を「廃止」するキャンペーンを展開し、トランスフォビックなキャンペーンや体外受精・代理出産に関する疑似科学的な恐怖を煽る最前線に立ち続けている。一方、Women’s Liberation Frontは、トイレ使用を制限する法案、性別適合医療の禁止、そして「性別」を出生時の生物学的性のみと定義しようとする取り組みといったトランスフォビックな政策を支持してきた長い実績を持つ組織だ。

FSC v. Paxtonのような訴訟を通じて、これらの団体は子供の安全への懸念を口実に、個人の自由より自らの世界観を強制する政府の命令を作り出すというビジョンを推し進めている。彼らがLGBTQ+の人々を子供への「悪の」脅威と呼び、その人権に反対する無数のキャンペーンを展開する以上、その意図は明白だ。だからこそ我々は繰り返し言い続ける――年齢確認措置の影響はポルノサイトの影響をはるかに超える

インターネットを超えた現実世界の公共空間への検閲拡大

我々が長年にわたって主張してきたように、インターネットの年齢制限を求める動きは、オンラインオフラインを問わず、公共生活でアクセスできる情報をコントロールしようとする幅広いキャンペーンの一部にすぎない。これらの提案を推進する多くの組織は若者のために行動していると主張するが、その議論は一貫して、子供を言論・情報に対する政府の支配権拡大を正当化するための道具として利用している。

オンラインでの年齢確認を推進する多くの組織はまた、本の禁止、DEI政策や教育への攻撃、学校や図書館からのLGBTQ+教材の撤去も支持してきた。テキサス州司法長官を支持した団体のうちCitizens Defending FreedomとManhattan Instituteの2つは、国内各地で「DEIを廃止する」ためのキャンペーンと、トニ・モリスンの『青い目がほしい』のような古典文学を学校図書館から禁じる取り組みを主導してきた。こうした活動はインターネットへのアクセスを制限しようとする活動と何ら変わらない――これらの団体が不快と感じるアイデアや情報へのアクセスを制限い、自由な思考、探求、そして自分の人生のあり方を自分で決める能力を萎縮させるという、より広範な戦略を反映しているのだ。

これらのキャンペーンはほぼ同一の主張――特定のアイデアは若者にとって本質的に危険であり、それゆえ制限しなければならないという主張に依拠している。だが、この主張は重要な現実を歪めている。もし議員たちが本当に若者がオンラインで経験する害に対処したいのであれば、まず若者自身の声に耳を傾けるべきだ。EFFが若者のオンライン体験について直接話を聞くと、圧倒的多数がインターネットへのアクセス制限を拒否し、多様で洗練された見解を示した。ひとたび「特定のアイデアは本質的に危険だ」という前提が受け入れられれば、かつて自由な表現・つながり・創造性・革新の象徴であったインターネットは、次の標的として論理的に名指しされることになる。

また、脆弱なグループが検閲法推進の道具として利用されるのはこれが初めてではない。FOSTA/SESTAをめぐる議論でも同じ手口を見た。、今回とほぼ同じ擁護団体が、人身売買の被害者・サバイバーとセックスワーカーの代弁者を名乗りながら、結果的にオンライン言論を検閲し、まさに互助的なコミュニティを排除する法律を後押しした。よく知られたパターンだ――脆弱なグループを持ち出し、特定の言論を脅威として位置づけ、それを情報の流れに対する政府の支配権拡大の根拠とする。そしてFOSTAとの戦いで我々が述べたように、もし議員たちが特定のコミュニティへの危害に真剣に対処したいのであれば、まずそのコミュニティと対話すべきだ。若者へのオンライン上の被害に取り組もうとする議員であれば、若者の利益を代弁すると主張する団体ではなく、若者自身と話すべきなのだ。

フィンケ議員は急進的だったのではない。正しかったのだ。

Paxton判決と、米国で年齢確認法を支持する連合は、こうした法律をめぐる言説が親や議員から表面的な支持を集める理由をまさに示している。だが我々は以前にも、建前の奥にある本音が語られるのを聞いてきた。「子供のオンライン安全法」の連邦法案の共同提出者マーシャ・ブラックバーン議員は、立法の目標として「社会におけるトランスジェンダー問題」への対処を挙げた。議員や擁護団体がクィアの存在そのものを若者への脅威として位置づけるとき、年齢確認法は規制政策ではなくイデオロギーの強制装置と化す。

表現の自由プライバシー、そして自分自身に関する真実の情報にアクセスする若者の権利を守ったリー・フィンケ議員は、急進的だったのではない――正しかったのだ。彼女は、イデオロギーによって動かされる広範な法律が、子供の保護の旗印のもとで若者を消去し、沈黙させ、孤立させるために利用されると警告していた。

年齢確認をめぐる闘いで問われているのは、単一の州における単一の法案でも、複数の州にまたがる問題でもない。「子供を守る」という言葉が、インターネットに対する政府のコントロールを特定の道徳的・宗教的判断――周縁化された人々から言論、コミュニティ、歴史、真実へのアクセスを奪う判断――を強制するための法的口実として埋め込まれてよいのかという問題だ。

そして、公職に就く人々のより多くに、フィンケ議員のような勇気でこの問題を告発することが求められている。

Rep. Finke Was Right: Age-Gating Isn’t About Kids, It’s About Control | Electronic Frontier Foundation

Author: Rindala Alajaji and Molly Buckley / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: March 12, 2026
Translation: heatwave_p2p
Material of Header image: Mehdi Sepehri