カナダの通信規制当局「CRTC」は、FairPlay Canadaが唱導する海賊版サイトブロッキングの申請を却下した。公の議論が紛糾した後、CRTCは電気通信法においてこの計画を実施する管轄権を有していないと判断した。
今年はじめ、FairPlay Canadaは、カナダ国内における(訳註:自発的)海賊版サイトブロッキングスキームを策定するよう提案した。
著作権者とBell、Rogersを始めとする主要通信事業者からなるこの連合体は、カナダ通信規制当局「CRTC」にその計画を提出し、パブリックコメントの募集を求めた。
このパブリックコメントによって、無数の意見が引き出された。この提案はISPや権利者団体からは支持されたものの、学者やアクティビスト、一般市民からの強い反発を受けた。
CRTCは今日、慎重な審査を経て、FairPlay Canadaの海賊版サイトブロッキング提案を却下することを決定した。その決定において、CRTCは提案された措置を実施する管轄権がないと説明する。
「当委員会は、FairPlay連合が提案する、著作権侵害に対処するためのウェブサイトブロッキング制度を実施するための電気通信法上の管轄権を有していないと判断し、したがって、制度実施の可否は考慮しない」とCRTCは記述している。
FairPlay連合は、海賊行為がカナダのエンターテイメント産業に深刻な被害をもたらしていると主張していた。CRTCはこれを否定していないものの、電気通信法はそのような著作権の救済策を実施することを意図していないと強調する。
「当委員会は、著作権侵害がカナダの放送システムおよび経済全体に悪影響をもたらしているという証拠を認めている」とCTRCは記している。
「しかし、著作権侵害に対処し、その影響を最小限に抑えるための他の手段については、議会における著作権法の審議や、電気通信法、放送法の専門家委員会による審議など、いまだ検討の余地がある」
このことは、問題のサイトブロッキングが今のところは議論から外されたことを意味する。しかし、将来的に、修正が加えられたものが再登場する可能性は高い。
この計画に強く反対してきたデジタル権利団体のOpenMediaは、この決定を歓迎している。ローラ・トライブ事務局長は、これがオープンなインターネットにとって大きな勝利であり、民主主義が実践されていることの証左であるとしている。
「本日、CRTCはオープンインターネットを保護し、重要な勝利をもたらした」とトライブ氏はいう。さらに「この行く末を見届けるため、著作権法の審査に厳しい目が向けられるでしょう」と付け加えた。
本稿執筆時点では、FairPlay Canada連合は、公式チャンネルを通じて、この決定についてのコメントを発表していない。
Telecoms Regulator Denies Canadian Pirate Site Blocking Application – TorrentFreak
Publication Date: October 2, 2018
Translation: heatwave_p2p
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