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英国の著作権者がISPに海賊版サイトのブロッキングを要請するためには、その都度高等法院に申し立てしなくてはならない。そこで英国政府は、司法判断を必要としない『海賊版』サイトブロッキングを検討するという。また、海賊版コンテンツの供給を経つため、AndroidおよびKodiアプリに対しても何らかの措置を考えているようだ。

欧州各国の政府があらゆる知的財産侵害の撲滅を望んでいる。なかでも特に力を入れているのが英国だ。

過去数年、英知的財産権庁(IPO)は、さまざまな海賊版の脅威を詳細に調査し、現在は違法ストリーミング現象が最も盛んであることを明らかにしている。

昨年11月には、EUの画期的裁定を受けて、IPOは消費者向けに、本来有料であるはずのコンテンツが(訳註:無料で)利用できるデバイスを使用することは、犯罪行為に加担することだとのアドバイスを公表した。そして本日、IPOは「違法ストリーミングデバイス」の製造者や「有料コンテンツの泥棒」への「圧力はますます高まっている」との声明を発表した。

サム・ジイマー知財相が公表したこの声明では、IPOはまず、侵害者の検挙数が増加していることについて、現在の法律が十分に機能していることを強調する。しかし、この状況を後押しすべく、さらに締め付けを強化する措置が検討されているという。

その標的は、有料放送や有料スポーツチャンネル、最新映画などの不正なコンテンツへのアクセスを可能にする海賊版ストリーミングデバイス――いわゆる改造「Kodiボックス」や設定済みAndroidハードウェアだ。IPOは、こうしたアプリやアドオンの利用は違法行為であり、およそ「4人に1人」が有料コンテンツへの支払いを回避しているという。

「違法ストリーミングは、クリエイティブ産業に損害をもたらしています。『有料』コンテンツに無料でアクセスできるメディアストリーミング・デバイスが違法であることを明確にしなくてはなりません」とサム・ジイマー知財相は言う。

「最近の検挙事例では、ストリーミングボックス販売事業者に罰金刑や懲役刑が課されています」

2017年、IPOは違法ストリーミングデバイスに関するパブリックコメントを募集し、その回答が今日公表されることになっている。さらに、IPOはCrimeStopperや業界関係者と協力して、海賊版ストリーミングデバイスがもたらすリスクに関する整理、営利目的で関与する者への対策についても検討するという。

特に重視されている点は、海賊版ストリーミングに対するブロッキングの強化のようだ。現在、権利者は権利侵害が疑われるサイトを同国ISPにブロッキングさせるために、高等法院から差し止め命令を得なくてはならない。しかし、IPOは裁判所の判断を必要としないブロッキング体制の構築を画策しているようだ。

「(1件毎に高等法院の差止命令を必要とするのと比較した上で)行政によるサイトブロッキングに関するエビデンスやその影響について検討し、行政によるサイトブロッキングの導入を可能とするメカニズムを整理する」とIPOの箇条書きの最初の項目にある。

ISPレベルでコンテンツをブロッキングしようという考えなのだろうが、すでに複数の回避策があることを考えれば、いささか手遅れ気味ではある。そこでIPOは、侵害コンテンツへのアクセスを助長するKodiアドオンを始めとするアプリケーションの開発者らへの措置も検討するようだ。

IPOは「アプリケーション開発者など、サプライチェーンの周辺領域における混乱を整理し、さらに新世代のスマートTVが侵害の発生に及ぼす影響について理解を深める」としている。

並行して、政府は利用者が「海賊版」デバイスに手を伸ばす理由についても知りたいようだ。侵害の抑止に向けて、セットトップボックス利用の背景にある消費者の態度や動機に関する調査を実施するという。

最後に、英国警察知的財産犯罪ユニットは、英国市場の非正規サプライの撲滅に向けた活動を継続する。IPOによれば、同ユニットは「引き続き優先順位の高いものから」、IPTVボックスやサービスの販売を通じて侵害を幇助する者の摘発を進めるという。

UK Govt. Mulls Easy Pirate Site Blocking & Streaming Crackdown – TorrentFreak

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: October 22, 2018
Translation: heatwave_p2p