TorrentFreak

本日、Googleは海賊版対策の最新状況に関する報告書をリリースした。同社はとりわけ、検索結果における海賊版サイトのランク降格により、英国著作権者との共同的取り組みの一環として、英国知的財産庁(IPO)と合意した基準内に収めることができたと強調する。

エンターテイメント業界は、これまでGoogleが海賊版対策を十分に行っていないとの批判を繰り返し、より強力な措置を講じるよう要求してきた。

Googleは、同社が実施するさまざまな著作権侵害対策の最新状況を定期的に公表している。

その報告書である「How Google Fights Piracy」が本日リリースがされた。同社は、エンターテイメント産業の数十億ドルの収益を提供するとともに、海賊版対策に取り組んできたと強調する。

Googleは同社の海賊版対策が5つの原則に従って実施されていると説明する。第一の原則は、より多くの、より良い正規サービスを提供することだという。

「海賊行為はしばしば、消費者の需要を正規の供給が満たさないときに発生しています。最も効果的な海賊版対策は、海賊版よりも優れていて、便利で、正規の代替選択肢を提供することです。これは著作権の執行よりも大きな効果が期待できるのです」とGoogleは主張する。

またそれ以外の原則として、「follow-the-money(金を追え)」アプローチや、効果的かつスケーラブルな海賊版対策ソリューション、不正な著作権侵害の申立等の不正行為への対策、透明性向上を挙げている。

報告書では、Googleのウェブ検索に関するポリシーとその結果に関する記述に多くのページを割いている。同社は海賊版コンテンツへのリンクを提供したいわけではないとした上で、こうしたURLの特定は著作権者次第だと強調する。

「Googleは、侵害コンテンツへのリンクを検索結果に表示したくはありません。こうした侵害ウェブページを表示しないために、様々な取り組みを行っています」とGoogleは言う。

「こうした取り組みの中心にあるのは、侵害コンテンツへのリンクを特定・削除し、正規サービスを提示するためのクリエイターや権利者との協力関係です」

検索エンジンは、最近では30億以上のURLを削除するほかにも、正規サービスへの誘導にも役立っている。こうした取り組みには、「ナレッジ・カード」(稀に海賊版へのリンクも含まれたりしているが)や、著作権者のSEO支援などがある。

今年はじめ、削除通知の数がこの数年ではじめて減少に転じたことをお伝えしたが、この報告書でもそれが確認されている。

「削除要請の数は、年を追うごとに増加し、長期的な上昇トレンドが見られていましたが、これが9%減少しました」

昨年、Googleは合計8億8200万のURLを削除するよう要請され、そのうち95%を削除したという。さらに、何度もフラグが立てられた6万5000以上のサイトの検索ランクを降格し、利用者に閲覧されにくくしてもいる。

Googleによれば、この降格措置は「極めて効果的」であったという。

「2014年に降格シグナルを改善した直後から、ある大手トレントサイトの検索エンジンからのトラフィックは、前週比で50%減少したことが確認されています」とTorrentFreakの記事を参照して述べている。

更に重要な点は、この降格措置が、英国の主要権利者団体と交わした自発的行動規範(Voluntary Code of Practice)における基準をクリアしたことだろう。これは権利者側から画期的な合意だと捉えられていたが、Googleはその期待に応えられたというわけだ。

これまでのところ、検索エンジンが効果的に侵害コンテンツへのアクセスを制限できているかをチェックするために、英国知的財産庁(IPO)のガイドラインに基づく4段階のテストが実施されている。Googleはこのすべてにパスしたのだ。

「降格シグナルや、メディア関連クエリに応じて正規版の結果を返すための取り組みなどにより、グーグル検索は見事にすべてのテストに合格し、IPOの定めた基準値を大幅に下回っています」とGoogleは主張する。

Googleは以前、英国政府から改善が見られなければ「立法」措置も辞さないとの警告を受けていたが、この結果によりその恐怖からは開放されることになるのだろう。

Googleは海賊版対策に最善を尽くしていくと述べる一方で、検索は海賊版サイトを後押しする最大のブースターではなく、インターネット上のコンテンツをコントロールする存在ではないと強く訴えている。

同社は、検索結果からドメイン全体を削除することは適法なコンテンツへのアクセスまで制限することになってしまうために容認できないという以前からの主張を繰り返し述べている。同様に、海賊版コンテンツをインターネット全体から「フィルタリング」することも選択肢にはなりえないという。

「Googleがウェブ全体から著作権侵害が疑われるコンテンツをフィルタリングし、検索結果から画像や動画、テキストを積極的に削除するツールを作成しようとしているというのは、根拠のない神話に過ぎません。そのようなシステムは、実行不可能なだけでなく、不必要なのです」とGoogleは言う。

Googleは、検索結果以外にも、YouTubeやGoogle Drive、Google画像検索などのサービスでもコンテンツを削除している。一部のサービスは昨年、ストリーミングサイトから大規模に悪用されていたが、Googleはすでに対策を講じたことを明らかにしている。

最後に、今日の海賊版対策レポートであれば、Kodiに触れない訳にはいかないだろう。このストリーミングソフトウェアはそれ単体では完全に適法ではあるものの、しばしばサードパーティの海賊版アドオンと組み合わされて利用されている。

すでにオートコンプリート機能から「Kodi」という単語を除外しているGoogleは、「疑わしい」アドオンを搭載したセットトップボックスをGoogle Shoppingから削除したという。さらに、Play Storeでは、海賊版Kodiアドオンがプリインストールされたアプリが公開されないよう厳重に監視しているという。

最後に、Googleは今後もあらゆる面で海賊版と戦い続けていくことを約束している。

「継続的なイノベーションとパートナーシップを通じて、私たちは悪者を駆逐し、今日のインターネットで愛されるあらゆるコンテンツを制作するクリエイティブ・コミュニティを支援すべく、これからも取り組んでまいります」

「How Google Fights Piracy」レポートの最新版はこちらから(pdf)

Google’s Anti-Piracy Efforts Pass IPO’s Test With Flying Colors – TorrentFreak

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: November 7, 2018
Translation: heatwave_p2p