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Googleに送られている削除要請の28%超が「疑わしい」とする研究を、コロンビア大学American Assemblyとカルフォルニア大学バークレー校の研究者らが公表した。この研究で検証された削除要請のおよそ5%が、著作権侵害コンテンツを標的としたものではなかった。残りの24%も、フェアユースなどの別の問題をはらんでいるという。

近年、著作権者らは海賊版コンテンツへのリンクを削除させるため、大量のDMCA通知をGoogleに送付している。

これらの要請は年を追うごとに劇的に増加している。2008年には年間数十件だった削除要請は、いまや1日平均で200万件にまで増加した。

著作権者はこうした削除要請の増加を理由に、現在のシステムは機能していないとして、Googleやその他のプラットフォームにより強固な著作権侵害対策を講じるよう求めている。一方のGoogleは、削除要請の増加は、誤った削除を増加させるのではないかと懸念している。

今週、コロンビア大学の研究所 American Assemblyとカリフォルニア大学バークレー校の研究者らが、現在の削除体制に関して詳細に検証した論文を公表した。この研究では、日々Googleに送られている数百万件の削除要請に焦点を当てている。

GoogleがLumenデータベースに提供しているデータを利用し、研究者は1億8000万件以上の削除要請の精度を検証した。削除要請のほぼすべて、99.8%がGoogleの検索結果に対するものであった。

検証の結果、削除要請全体の28%超が「疑わしい」ものであった。4.2%が著作権侵害が疑われるコンテンツに関する削除要請だったが、報告されたURLにそのコンテンツは存在していなかった。

「われわれが行ったデータの検証と比較から、削除要請のおよそ3分の1(28.4%)が、その有効性に明らかに疑問のあるものであった」と論文では述べられている。

「疑わしい」削除要請とはどのようなものなのか。1つには、対象のウェブサイトが既に閉鎖され、存在していないというケースだ。以下の図に示されているように、NBC Universalなどの権利者は、Megaupload.comやBTJunkie.orgなどの既に存在していないウェブサイトへのリンクを削除するよう求め続けている。

「一部の送付者――一般的には無許可のファイル共有サイトを標的にしている――は、既に存在しないサイトのリンクに対する削除要請を送り続けている。自動化アルゴリズムの正確性を保つためにどのようなチェックが行われているのか、はなはだ疑問である」

閉鎖されたサイトへの削除要請
defunct

また、削除の体裁が不適当なケースもある。たとえば、DMCA削除を求めるにはふさわしくないものや、フェアユースの可能性があるものなどだ。

論文の共著者で、コロンビア大学American Assembly副所長のJoe Karaganisは、自動削除要請システムが、人間が確認できなくなるほどの処理を行うことで問題を生じさせる、とTorrentFreakに語る。

「自動化それ自体が悪いというわけではありません。大抵は人間がやったほうが間違いが多いのですから。しかし、問題は、人間がきちんと確認することが難しい、あるいは不可能なほどに、大量に自動処理が行われてしまうことなのです」とKaraganisは言う。

「削除要請を送るロボットとそれを受け取るロボットがやり取りしているために、実際に対象のコンテンツを確認するステップがしばしば抜け落ちています。私たちの研究のポイントは、対象のコンテンツを確認し、人による判断を加える重要性を示したことにあります」

「疑わしい」削除要請の膨大さは、Googleが削除する必要のないコンテンツまで削除しているのではないかという疑問を生じさせる。Googleは現在、削除要請の97.5%に対応しているという。つまりそれは、疑わしい要請のほぼ大半を受け入れていることを意味する。

「少なくとも、Googleはこれらの問題に対してきわめて消極的なアプローチをとっています。おそらく、コンテンツは 必要以上に削除されているでしょう」とKaraganisは言う。

「何もGoogleが特別なわけではありません。有効な要請を拒否した場合のペナルティを考えれば、すべてがそうだとは言いませんが、大半は拒否するよりも削除するほうに舵を切るでしょう。なかには、要請を受けたものすべてを削除しているところもあります」

研究者らは、現在の削除プロセスを改善するため、いくつかの政策提言を記している。現在、このような疑わしい削除要請をリスクなく送れる状況があるため、それを難しくすべきという提案だ。

加えて、彼らは「ノーティス・アンド・ステイダウン」にも警告を発している。著作権者がしばしば求めている自動化フィルタリング・メカニズムは、濫用の可能性を増大させ、デュー・プロセスを害するという。

ワシントン・ポストにも取り上げられたこの論文は、これまでGoogleがとってきたポジションと非常によく似ている。

この研究が、Googleの助成を受けていることは強調しておくべきだろう。著作権産業はこれまで自らが助成した研究を根拠にロビー活動を行ってきた。Googleも将来、それと同じことをするのだろう。

この研究が役立つのはそれほど遠い未来ではないかもしれない。米政府は現在、まさに自動化削除要請や濫用の問題が含まれている領域、DMCAセーフハーバー条項の有効性を評価するためにパブリック・コメントを募集している。
“28% of Piracy Takedown Requests Are “Questionable” – TorrentFreak”

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: March 31, 2016
Translation: heatwave_p2p

2件のコメント

著作権者「BBC OneとiPlayerをGoogle検索から消してください」 – P2Pとかその辺のお話R · 2016/5/20 23:05

[…] 一部には、不適切な通知は比較的僅かな割合であり、それをもって全体を語ることはできないと主張する人もいるが、そういう人は自分のURLが検索結果から削除されなければ、わからないのだろう。Googleの警戒のおかげで、BBCのiPlayerは検索結果に今日も表示されている。BBCはそのことに感謝しているだろう。 […]

音楽産業:「DMCAは時代遅れ、有害ですらある」 – P2Pとかその辺のお話R · 2016/4/7 23:25

[…] 今週初め、Googleが助成した研究報告書において、Googleに寄せられたDMCA削除要請の30%近くが「疑わしい」ものであったことが明らかになった。また、EFFは市民にDMCAで怖い思いをした経験を共有するよう求めていた。 […]

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