シカゴの学生が、公開初日の映画を携帯カメラで撮影し、インターネットにライブ・ストリーミングしたとして逮捕された。報道によると、この人物は携帯電話のカメラを使用してFacebookにライブストリームしていた。しかし、この事件は、シカゴから8200マイル離れたインドのアンチ・パイラシー会社に発見され、米国の警察に通報されたという。
米国において、最新映画を盗撮するために撮影機器を映画館に持ち込むのは、実に危険な行為だ。その行為は、Family Entertainment and Copyright Act 2005により犯罪とされている。
同法では「著作権所有者の許可なく、映画館において上映中の映画のコピーを伝達ないし作成するために、録音・録画機器を、その意図を持って使用ないし持ち込む何人も、3年以下の禁錮ないし本法に基づく罰金あるいはその両方を科す」と定められている。
施行から数年が経ち、この法律は世界最悪の映画盗撮犯からまったくの無実の人まで、あらゆる人びとに適用されてきた。とはいえ、この法律の存在は、間違いなく米国における映画盗撮を劇的に減少させることに貢献している。しかし、一部の人々は、映画盗撮をそれほど危険な行為だとは考えていないようだ。
昨日、ラブコメティ映画『A Aa』のワールドプレミアが行われた。その上映館の1つに、シカゴのムヴィコ・ローズモントという映画館があった。
『A Aa』の配給会社Bluesky Cinemasによると、木曜、この18のスクリーンを持つシネコンに予期せぬ出来事が起こったという。インディアナ州バルパライソ大学の学生が、プレミア真っ最中の映画を携帯電話で撮影し、映画の録画とFacebookでのライブ・ストリーミングを開始した。
こうしたケースは劇場のスタッフに捕まるというのが一般的だが、この事件では、8200マイル離れたインド南部テランガナ州の州都ハイデラバードにあるBluesky Cinemasのアンチ・パイラシーチームに補足されたのだという。
Bluesky Cinemasのアンチ・パイラシーチームは、そのリンクをFacebookから削除した後、イリノイ州のムヴィコ・ローズメントの責任者に連絡を入れ、警察を呼んだという。
「(その)学生は現行犯逮捕されました」とBlueskyは声明のなかで述べている。
しかし、この手の事件は収拾がつかないほどおおげさになることもあるが(逮捕されたというだけで十分おおげさではあるが)、Blueskyによると、 学生のデバイスで録画された――わずか数分の――コンテンツは、その後削除されたという。証拠を消したことから、おそらく起訴するつもりのだろう。
とはいえ、警察は、地球の裏側からの通報を受けて急行しなければいけないほどの事件だと考えているのだろう。たとえその盗撮がプロの犯行でなかったとしても。
「ソーシャルメディアで無許諾のビデオを録画、共有することも、サイバー犯罪に加担することになります」とBlueskyは警告する。
「米国の学生が、このようなトラブルに巻き込まれない(関与しない)よう願うばかりです。(私たち)アンチ・パイラシーチームは精力的に、あらゆる違法な活動を追跡し続けます」
“Student Arrested in U.S. For Live Streaming a Movie on Facebook – TorrentFreak”
Publication Date: June 03, 2016
Translation: heatwave_p2p
Kilyan Sockalingum
日本でも2007年に成立した映画盗撮防止法。ストーカー事件捜査中に映画の盗撮映像が見つかったからと書類送検してみたり、私的に使用する目的で録音した人を書類送検してみたり、個人で楽しむ目的で撮影した人たちを年に0.5人くらい摘発している。だいたい不起訴。
立法に際して、そういうちょっとした出来心で映画を盗撮しちゃう人を摘発するための法律ではない、映画産業に数百億円の損失(違法コピーされた回数×映画チケット料金という単純計算)をもたらす映画盗撮犯を捕まえるためのものだ、というような話を、甘利明経済産業大臣(当時)や政府参考人がしていたような気がするが、法律ができてしまえば、立法時の趣旨や含意は早々に風化してしまうのだろう。
みなさんも、うっかりカメラ付きのウェアラブル機器を映画館に持ち込まぬよう、お気をつけを。