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今年、『アンネの日記』は、オランダにおいてパブリックドメインとなり、世界中の人びとが自由に読むことができるようになった。しかし、米国法では、『アンネの日記』は著作権の保護が続いており、ウィキメディア財団は、不満を述べつつも『アンネの日記』をサーバから削除した。

『アンネの日記』は歴史上、もっとも知られている文学作品の1つだろう。第二次世界大戦中、ナチスから逃れるめに隠れ家生活を送っていたオランダ人少女アンネ・フランクが書いたものだ。

アンネ・フランクは1945年に亡くなったため、彼女の死後70年目となる2016年1月1日に、『アンネの日記』はパブリックドメインとなる。

『アンネの日記』の著作権保護期間をめぐってはいささかの論争が巻き起こってはいるが、すでに複数のサイトでパブリックドメインとして公開され、自由に利用できるテキストのデジタル・ライブラリWikisourceでも公開された。WikisourceはWikipediaを運営するウィキメディア財団が管理している。

しかし今週、その『アンネの日記』に削除されてしまった。米国の著作権法が作品の公表後95年間の保護を定めているためであった。

ウィキメディア財団の法律顧問Jacob Rogersは、今回の削除を米国著作権法の行き過ぎであると断じている。しかし、従う以外の選択肢もないとも述べている。

「本日、米国の行き過ぎた現行著作権法の不幸な一例として、ウィキメディア財団は『アンネの日記』のオランダ語テキストを削除した」とRogersは綴っている。

「『アンネの日記』は、米国の現行著作権法において依然として保護の対象となることから、米国のデジタル・ミレニアム著作権法(DMCA)に従い、削除を決断した」という。

ウィキメディア財団は、同書の削除要請を受けてはいないが、財団に送付された電子メールでの議論に応じて決断したという。これらの電子メールによって、財団は『アンネの日記』をサーバ上にホストしているという「実際の(actual)」あるいは「明白な(red flag)」認識を得てしまった。

Wikisourceのサーバは米国司法権下にあり、米国著作権法が適用されるため、『アンネの日記』は公表後95年の保護期間となる。

つまり、ウィキメディアは2042年まで『アンネの日記』のコピーをホストすることができないということだ。ウィキメディアは米国法には従いつつも、この決断を遺憾とし、著作権保護期間の短縮を求めている。

「いずれにしても、今回の削除は、幾度もなされてきた著作権保護期間の延長――われわれのコミュニティを蝕みつづけている問題――を阻止するために著作権法を変えなくてはならないという秀逸な事例を提供している」とRogersは綴っている。

ウィキメディア財団が自発的に削除する一方で、『アンネの日記』のオランダ語版は広く、あらゆる場所で公開されている。インターネット・アーカイブは現在もコピーをホストしており、ほとんどトレントサイトでも扱われている。
“U.S. Copyright Law Forces Wikimedia to Remove “Public Domain” Anne Frank Diary – TorrentFreak”

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: February 11, 2016
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Header Image: Shubert Ciencia / CC BY-NC 2.0