欧州議会は今日、欧州インターネットユーザからの電話やメールが殺到したにもかかわらず、コンテンツ共有サイトの全般的・予防的な著作権フィルタの原則を許容した。また、ニュースパブリッシャに、ニュース記事をオンラインで引用する者を――記事のリンクに見出しを加えた者さえ――訴えることのできる権利を与えるアイディアも支持された。これらの提案によって引き起こされる弊害を抑制、軽減するための修正案もすべて拒絶され、最もひどい修正案が支持された。
被害を抑制する機会は 、EUレベル、加盟国レベル、最終的には欧州の法廷において、まだ残されている。しかし間違いなく、これは欧州インターネットとデジタル権の深刻な後退を意味している。
さらに、EUの内部からインターネットを守る戦いを続けてきた人々にとって、ますます雲行きが怪しくなっている。著作権指令案への投票が行われたまさにその日、欧州連合の統治機構である欧州委員会は、「インターネット上のテロ扇動コンテンツの拡散を防止する」ための規制を提案した。審査を伴わない迅速な検閲をさらに加速させるこの提案は、新たな「削除命令」を規定し、命令から1時間以内にコンテンツを削除する義務をホスティングサービスプロバイダに課している。著作権指令の文言を繰り返すように、このテロリスト規制は「テロリストによるホスティングサービスの悪用を防止することで、開かれた民主的社会におけるデジタル単一市場の円滑な機能を確実にすることを目指す」という。そして、「自動化されたツールの使用を含む、積極的な対策」を用いることを推奨している。
EUは著作権の執行をアルゴリズムとテクノロジー企業に委ねるだけでは飽き足らず、政治的言論の制限まで拡大しようとしている。
状況は悪い。だが、もっと悪くなる可能性もある。来年5月に欧州議会選挙が控えている。ブリュッセルでデジタル権の問題に精力的に取り組んできた多く重要議員の姿は、そこにはない。著作権指令の建設的な修正案を提出したマリエッテ・シャーケ議員は、欧州議会選挙には出馬しない意向を表明。ドイツ海賊党のジュリア・レダ議員も去る。GDPRを推し進めたジャン・フィリップ・アルブレヒト議員は、ドイツ国内政治に関わるためにすでに議会を去った。欧州議会が擁するデジタル権の専門家たち(最初からそうでなかったにしても)が、いなくなってしまうのだ。
デジタル単一市場における著作権指令について、現状で言えることがあるとするなら、べらぼうに極端だということだ。しかしそれは、新世代のインターネット活動家を突き動かすことになるだろう。DMCAでもSOPA/PIPAでも、ACTAでもそうだった。それはきっと繰り返される。
国内レベルされ、EUレベルであれ、欧州の政治やアクティビズムに大きな役割を果たしたいと考えているのであれば、今こそその時だ。
願うだけでは変わらない。こうした法律が勢いを落としたり、自己矛盾により瓦解することを望んだり、インターネットを理解しない人々がその破壊を慎むことを祈っているだけでは不十分だ。EFFの記事を読み、支持し続け、ブリュセルに拠点を置くEDRiや強力なパートナーシップを結ぶ国内デジタル権団体に参加してほしい。あなたのデジタルビジネスについて、オープンソースプロジェクトについて、趣味やファンダムについて、グローバルなインターネットコモンズの貢献者として声を上げよう。
今日はインターネットと欧州連合にとって、最悪な一日であった。しかし、我々は、より良い日が訪れることを確信している。
Publication Date: September 12, 2018
Translation: heatwave_p2p