以下の文章は、電子フロンティア財団の「Four Years After Dobbs, Anti-Abortion Lawmakers Keep Coming for Online Speech」という記事(2026年7月25日付)を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation

ドブス対ジャクソン女性健康機構判決が、中絶を求める人々に対するロー対ウェイド判決の憲法上の保護を覆してから、今週で4年になる。この節目に、これまでを振り返り現状を見つめ直すことにしよう。この4年間、デジタルライツとリプロダクティブ・ライツがますます分かちがたく絡み合っていくさまを目の当たりにしてきた。その最たる表れが、中絶をめぐる闘いが、オンライン言論と政府による検閲をめぐる闘いにもなったことである。リプロダクティブ・ヘルスケアについて人々が調べ、学ぶのを助けるウェブサイトやオンラインリソースを標的に、法案、停止通告書、訴訟、政府による調査が絶え間なく繰り出されてきた。

これは、中絶に反対する政府当局者たちが情報エコシステムを思いどおりに形づくり、人々が読めるものを制限し、互いに連絡を取り合う手段を断ち切ろうとする試みにほかならない。我々は何年にもわたって、この動きが積み重なっていくのを見てきた。心強いのは、こうした試みの多くが失敗に終わっていることだ。一方で懸念すべきは、それでもなお次から次へと繰り出されてくることである。そして、もしこれらが成功を許されれば、その影響はリプロダクティブ・ライツにとどまらず、オンラインにおける表現の自由全体に及びかねない。

情報を共有しているだけのサイトが標的に

これが言論に対する戦争でもあることを何より如実に物語っているのは、当局者たちの矛先が向かう先だ。中絶の提供者や中絶薬を処方・販売する事業者だけではない。選択肢を伝え、医師の探し方を示し、中絶がまだ合法な場所を教えているにすぎないウェブサイトまでもが狙われている。

停止通告と削除要求

州司法長官たちは、こうしたオンラインの情報ハブに停止通告書や削除要求を次々と突きつけている。たとえば今月だけでも、アラバマ州司法長官のスティーブ・マーシャルは、中絶関連のウェブサイトを運営する複数の団体に停止通告書を送付した。その中には、中絶へのアクセスに関する教育リソースや調査を提供する公衆衛生キャンペーン、Plan Cも含まれていた。Plan Cは中絶薬を販売も発送もしていない。ただ情報を提供しているだけだ。にもかかわらずマーシャルの事務所は、Plan Cのウェブサイトが違法な中絶を「助長し、幇助し、教唆している」と主張した。アーカンソー州司法長官も同様に、複数の団体に対してそのウェブサイトをめぐる停止通告書を送りつけており、その中にはMayday Healthも含まれていた。Mayday HealthもPlan Cと同じく情報を提供しているだけで、薬を直接処方したり郵送したりはしていない。

今年初めには、ノースダコタ州司法長官のドリュー・リグリーが法的措置をちらつかせ、Prairie Abortion Fundにウェブサイト上の情報を削除するよう命じた例もある。理由は、この基金が薬を販売していたからではない。そのサイトが外部のいくつかの情報リソースにリンクしていたからだった。司法長官が主に問題視したのは、同基金によるPlan Cへのリンクである。つまり最大の「問題」とされたのは、薬を入手できるさらに別のウェブサイトにリンクしているウェブサイトへのリンク、ということになる。

とりわけ懸念されるのは、州が訴訟に勝つ必要も、それどころか訴訟を起こす必要すらなく、望むものを手に入れられてしまうことである。特に小規模な団体や基金にとっては、法的措置をほのめかす書簡1通だけで言論を萎縮させるには十分であり、重要なコンテンツを削除して口をつぐむことにつながってしまう。

検閲の義務化

複数の州の議員たちは、中絶を受ける方法に関する情報リソースの共有を違法にしようとも試みてきた。全国、あるいは世界中に読者を持つ、純粋に情報提供だけを目的としたウェブサイトも例外ではない。サウスダコタ州は最近、「他者に中絶を引き起こすために使用または適用させることを意図した方法で説明された」あらゆるものの「広告」を重罪とする法律を可決した。これほど広範な文言では、合衆国憲法修正第1条で保護された権利擁護活動を行うだけのサイトや、教育リソースを提供するだけのサイトにも容易に適用されかねない。そうしたウェブサイトを運営するMayday Healthは、この法律の差し止めを求めて連邦裁判所で州を提訴した。訴状では、Maydayのウェブアドレスがプリントされたスウェットシャツを着るといった些細な行為にまで、この法律が及びうると主張されている。

他の州議会でも同様の動きがある。たとえば昨年、テキサス州では中絶を誘発する薬の入手方法について「情報を提供する」ことを違法とする法案が提出された。他州の合法的な中絶サービスについてメールをやりとりしたり、オンラインでチャットしたり、情報を共有するウェブサイトを作ったりしただけで、この法案に違反するおそれがあった。幸いこの法案は成立しなかったものの、テキサス州はここ数年、同様の法律の成立を何度も試みている。

消費者保護を装った検閲

中絶反対派の当局者がオンライン上の言論を標的にする主な手口の1つが、消費者保護法や虚偽広告に関する法律を武器化し、中絶についての情報提供がこれらに違反すると主張することだ。この戦術は言論の自由に対する脅威である。合衆国憲法修正第1条は、公共の問題に関する真実の情報の公表を保護し、最高裁は、中絶が違法な州においても合法的な中絶についての情報を提供することも含まれると明言している。

ところがサウスダコタ州などは、中絶をめぐる言論を攻撃するために虚偽広告という主張を持ち出し続けている。昨年、サウスダコタ州はMayday Healthに対し、「妊娠した? 望んでいない?」という文言にMaydayのウェブサイトへのリンクを添えただけの広告を出したとして、停止通告書を送付し、さらに訴訟を起こした。州の言い分は、この広告が「欺瞞的」だというものだった。これに対しMaydayは連邦裁判所に逆提訴し、修正第1条に基づいてサウスダコタ州の措置に異議を申し立てた。連邦地裁の判事は、並行する州の訴訟が係属中であることを理由に最終的には介入を見送ったが、Maydayのウェブサイトは「修正第1条の保護対象となる言論」にあたると考えていると、あえて言い添えている。

他の州も同様の手口を用いてきた。ミズーリ州は2025年、消費者保護法に基づいてPlanned Parenthoodを提訴し、中絶薬は安全だと記したウェブページを「不公正かつ欺瞞的な」取引慣行だと断じた。フロリダ州はさらに踏み込んで、同種の記述をめぐってRICO法――通常は組織犯罪に用いられる法律――を持ち出した。フロリダ州側の根拠は、中絶反対派のシンクタンクが資金提供したたった1つ研究だったが、主要な医療団体や数十年にわたる研究によれば、深刻な合併症の発生率は0.5%未満にすぎない。州が都合のいい研究だけをチェリーピックして、オンライン上の言論を消し去ることなど許されてはならない。

仲介者を狙い、ウェブサイトを丸ごと消し去る

一部の当局者は、中絶に関する特定の言説を制限するだけでは飽き足らない――ウェブサイトを丸ごとを消し去りたいのだ。

たとえば、アーカンソー州司法長官が昨年送付した停止通告書を見てみよう。これらの書簡は、インターネット仲介者(インターネットサービスプロバイダ、ウェブホスティング事業者、あるいは検索エンジンやソーシャルメディアプラットフォームなど、インターネットの利用を支える事業者)に直接送りつけられた。書簡はドメインレジストリ企業とウェブホストの双方に対し、中絶薬について論じているサイトへのサポートを打ち切るよう要求していた。だが周知のとおり、ホストやドメインを断ち切れば、その言論はすべての人の前から消えてしまう――アーカンソー州の人々だけに限定されない。

同様に、テキサス州の2025年の法案は、仲介者に中絶関連コンテンツの削除を義務づける内容だった。ここで思い起こしておくべきは、仲介者に民事・刑事上の責任を課すことは、中絶薬に関する言論も含め、ユーザが生成した言論をホストするオンライン仲介者の能力を守る連邦法、47 U.S.C. § 230(「230条」)とも矛盾するということである。

この動きは連邦レベルにも広がっている。2026年3月、ビル・キャシディ上院議員と上院保健・教育・労働・年金委員会の同僚議員たちは、オンライン販売業者に対してあらゆる手段を講じるようFDAに迫った。そこには、こうしたサイトをオンラインに維持しているドメインレジストラに圧力をかけることまで含まれている。

なぜ誰もが懸念すべきなのか

これをリプロダクティブ・ライツをめぐる闘いに限った話だと捉えたくなるかもしれない。だが、それは間違いだ。ケアを求める人々にとって、差し迫った害は明白である。正確で、ときに命を救いうる情報を見つけられる場所は、多くの場合インターネットしかない。書簡や訴訟、削除の脅しが1つ重なるたびに、そうした情報は見つけにくくなり、共有するリスクも高まっていく。

しかし、その悪影響はそれだけに留まらない。我々がいま目撃しているのは、消費者保護法や刑事法、仲介者への圧力を駆使して、好ましくない見解を抑え込み、情報をオフラインに追いやり、ウェブサイトを消し去る方法を探る、現在進行形の実験だ。こうした手口が中絶をめぐる言論にしか使われないと考えるのは、あまりにナイーブだと言わざるをえない。

我々は、裁判所と議会が今後もオンラインにおける言論の自由を守り続けることを願っている。とはいえ、威嚇的な書簡や訴訟、調査が絶え間なく続くこと自体が、また別の種類の害なのである。我らEFFは、中絶に関する情報であれ、それ以外のあらゆる情報であれ、オンラインでの情報の共有・閲覧の権利をこれからも守り続けていく。

Four Years After Dobbs, Anti-Abortion Lawmakers Keep Coming for Online Speech | Electronic Frontier Foundation

Author: Lisa Femia / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: June 25, 2026
Translation: heatwave_p2p