以下の文章は、TorrentFreakの「Former “Copyright Alert System” Portal Now Links to Mattress Review Site」という記事の翻訳である。
かつて、「6ストライク」著作権侵害警告システムは優れたオンライン海賊版対策ツールとして賞賛された。にもかかわらず、このシステムは2年ほど前に停止している。現在も著作権情報センターのドメインはウェブに残っているが、マットレスの販売に利用されている。それでは海賊版の抑止は期待しようもないが、最悪の結果だけは免れているのかもしれない。
2011年、MPAAとRIAAは米国の大手インターネットサービスプロバイダ数社と手を結び、BitTorrent海賊ユーザの規範と行動を変容させるためのスキームを発表した。
彼らは「著作権情報センター」を立ち上げ、インターネット接続が海賊版ダウンロードに利用された場合、その契約者に警告を発するシステムを導入することで合意した。
このプログラムでは、ISPは帯域制限や一時的なインターネット接続の遮断など、さまざまな抑止的措置を講じることになっていた。この「自主的」合意は米国政府からも歓迎され、他国の模範となるものとして賞賛された。
しかし、それは長くは続かなかった。
2017年はじめ、MPAAとRIAA、米国の大手ISP数社はこのシステムから手を引いた。当事者たちがこの取り組みの中止の理由を説明することはなかったが、彼らにとって理想的なソリューションではなかったということなのだろう。
すでにISPから複数回の警告を受け、「処罰」の危機に瀕していた人々には朗報だっただろう。これで彼らも再び安らかに眠ることができる。すでに役目を終えた著作権警告システムのウェブサイトは、いまや彼らの安眠を手助けをしてくれるかもしれない。
このスキームが中止された後も、「copyrightinformation.org」 のウェブサイトは数カ月に渡ってオンラインに残され、著作権侵害通知を受け取らないようにするにはどうしたらいいのか、正規コンテンツはどこで入手できるのかといった情報を提供していた。
それもいつしか終了し、このドメインはマットレスのレビューサイトに引き継がれたようだ。
現在、かつての著作権警告システムのウェブサイトにアクセスしようとすると、buymattress.netにリダイレクトされている。関係者の誰もが、ドメイン登録の更新に興味を失っていたようだ。
このマットレスサイトは、信頼性の高いニュースサイトなど、ウェブ中に無数のバックリンクを持ったSEO的に有益なドメインを喜んで手に入れたことだろう。
もちろん、マットレスサイトであればRIAAやMPAAにとっても大した問題ではない。だが、これは幸いというべきだろう。
もしこのドメインが、パイレート・ベイや海賊版ストリーミングサイト、ストリームリッピングサイトにおさえられていたらどうなっていただろうか。少なくとも、赤っ恥はかかされたはずだ。
MPAAはこうしたリスクを理解していないわけではない。たとえばTorrentSpy.comのドメインは、同サイトが閉鎖してから10年以上が経過しているにもかかわらず、現在もMPAAが所有している。同様に、Isohunt.comとHotfile.comもMPAAが管理しており、MPAA.orgにリダイレクトされている。
とはいえ、海賊版サイトや海賊版対策に関連したドメインが、第三者の手に渡ることは全く前例のないことではない。たとえば数年前、米国司法省はMegauploadに関連する複数のドメインを放出している。
最も有名なのは、2007年にパイレート・ベイがIFPI.comを手に入れたことだろうか。このドメインは、かつては国際的な音楽業界団体IFPIが所有していたものだった。パイレート・ベイはその略称はそのままに、「 国際海賊業界連盟(International Federation of Pirate Interests)」という名称に変更していた。
Former “Copyright Alert System” Portal Now Links to Mattress Review Site – TorrentFreak
Publication Date: May 12, 2019
Translation: heatwave_p2p
Header Image: Tara Evans