以下の文章は、電子フロンティア財団の「In a Blow to Free Speech, Texas’ Social Media Law Allowed to Proceed Pending Appeal」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation


違憲の疑いがあるテキサス州法は、ソーシャルメディア企業が取り扱うコンテンツのキュレーション、つまり修正第1条の権利を行使することを制限している。連邦控訴審がこれを阻止した下級審の差止命令を取り消したことで、発効が可能となった

米国第5巡回控訴裁判所の3人の裁判官は、2対1の決定で、理由を示すことなく1行の命令で差し止めを取り消した。この法律、Texas HB 20は、大規模ソーシャルメディアプラットフォームが、ユーザの意見に基づいてコンテンツを削除したり、モデレーションすることを禁止しているが、控訴審は審理中の施行を可能にしたことになる。

裁判所が法律の合憲性について判断を下す前に、法律の施行を認める決定は誤っている。これは大きな不確実性を生み出し、多数の訴訟を呼び込み、憲法で保護された言論を萎縮させ、米国ひいては世界中の大規模ソーシャルメディアサイトの利用者に不利益をもたらす。

下級審は修正第1条に違反するとしてこの法律を差し止め、テキサス州は控訴した。我々は、オンラインプラットフォームがどういったコンテンツをホストするかという編集上の決定を政府は制限できないと主張し、地裁、控訴裁に法廷助言書を提出している。第5巡回区控訴裁には、ソーシャルメディア企業のコンテンツ・モデレーションの判断には不満も多いが、それでも企業が自社プラットフォームで適切に編集する修正第1条の権利を保障することで、ユーザは最大の恩恵を受けることができると訴えた

このような保護があるからこそ、ソーシャルメディアサイトは政府に介入されることなく自由にコンテンツをキュレーションでき、ユーザは多様なフォーラムを閲覧・貢献できるのである。HDB20では、ソーシャルメディアプラットフォームは「ユーザ、ユーザの表現、またはユーザが他人の表現を受け取る能力を、ユーザまたは他人の視点に基づいて検閲することはできない」としている。また、ユーザとテキサス州司法長官は、この法律に違反したと思われる企業を告訴することもできる。

HB 20は、「反保守的な偏向」があるとされるプラットフォームを罰することを目的とした報復的措置であることは明らかだ。EFFの準備書面でも説明されているように、政府が好ましくない発言者に報復したり、好ましい発言者を擁護することは許されない。さらに、HB20は、党派によらないユーザの発言を受け入れることを要求しているため、大規模な保守プラットフォームを崩壊させたり、その出現を阻止するものにもなるだろう。

この訴訟は、テクノロジー業界団体のNetChoiceとComputer and Communications Industry Association(CCIA)が起こしたもので、NetChoiceはこの判断を不服として控訴を予定している。一方、この法律に拘束される企業が、この法律を遵守するのか、あるいはどうやって遵守できるのかはいまだ不明である。

In a Blow to Free Speech, Texas’ Social Media Law Allowed to Proceed Pending Appeal | Electronic Frontier Foundation

Author: Karen Gullo / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: May 12, 2022
Translation: heatwave_p2p
Header image: Ameer Basheer

この記事の公開翌日、NetChoiceとコンピュータ情報産業協会は緊急の猶予要請を最高裁に申請した。