以下の文章は、ARTICLE 19の「Twitter: What Elon Musk must do to protect free speech」という記事を翻訳したものである。

ARTICLE 19

Twitterの買収を発表した4月25日、イーロン・マスクは表現の自由を強化・支持し、ソーシャルメディアプラットフォームを「自由に」するための措置を講じると約束した。

一方で、これまで表現の自由を擁護してきた人びとは、オンラインの虐待、ヘイトスピーチ、偽情報の問題が悪化するおそれがあるとの懸念を表明した。

オンラインの表現の自由を改善するための最良の方法は、コンテンツとデータが一握りの強力な企業に支配されないようにし、それによって表現の自由のためのより健全な環境を育むことだ、とARTICLE 19は考えている。

イーロン・マスクがBlueskyプロジェクトに無制限の投資を行うことは歓迎したい。このプロジェクトは2019年末にTwitterが発表したソーシャルメディアのスタンダードを分散化させる取り組みである。Blueskyは「オープンで分散化された公共の対話を可能にする技術の開発」に取り組んでおり、人びとがさまざまなプラットフォームでコミュニケーションし、1つのプラットフォームに束縛されない相互運用可能なネットワークを追求している。

ARTCLE 19は、相互運用性の強化・促進に関するさらなるステップと、コンテンツのホスティングとモデレーションという2つの異なるサービスのアンバンドリング(unbundling:分離 )を歓迎する。アンバンドリングは、支配的なソーシャルメディアプラットフォームが、そのプラットフォームでのコンテンツ・モデレーションと並行して、競合他社によるコンテンツ・モデレーション・サービスの提供も可能にする。

アンバンドリングは、一部の強力な企業の支配力を弱め、独立した責任ある規制当局が監督する、よりオープンで公正かつ分散化されたデジタル市場の導入に役立つだろう(詳細はARTICLE 19のTaming Big Techポリシーペーパーを参照)。

「表現の自由によって、権力を持たない人たちであっても、権力者と同じ土俵に立つことができます。だからこそ、表現の自由は民主主義の基盤なのです」と、ARTICLE19のクイン・マキュー事務局長は語る。憲法の起草者たちは、権力に対し自由に真実を語ることが権力の抑制に必要なことを知っていた。イーロン・マスクが言うように、現在のコンテンツ・モデレーションシステムは機能していない。だが、それは彼が考えているような理由でそうなっているわけではない。ミャンマーがトルコの人びとが直面する問題と、シリコンバレーが考えている問題は、まったく異なっているようにみえる。オンラインの表現に対する大手テック企業の力を分散させるための意見に耳を傾けるよう彼に求めたい。マスク氏が説明責任を果たし、万人の表現の自由を守るよう求める。

イーロン・マスクのオンライン表現の自由に対する野心は大きいが、それは国際人権基準を中心にしたものでなければならない。さもなくば、Twitterの新オーナーの掲げた約束は絵に描いた餅に終わるだろう。

Twitter: What Elon Musk must do to protect free speech – ARTICLE 19

Author: / ARTICLE 19 (CC BY-NC-SA 2.5)
Publication Date: April 27, 2022
Translation: heatwave_p2p
Material of Header image: PhotoMIX-Company