インド政府はポルノ禁止令を復活させ、827の成人向けウェブサイトをブロッキングするようISPに指示した。その対象は2015年にも実施されたブロッキングとほぼ同様であったが、CollegeHumorなど「過剰ブロッキング」が指摘された一部のサイトは除外された。当然、Pornhubは対象にままだ。そこで、このアダルト帝国は、ブロッキングされた海賊版サイトの先例に倣い、ミラーサイトを立ち上げた。それと時を同じくして、インド国内では「VPN」という検索ワードが急上昇した。
2015年夏、インターネットは史上最大規模のウェブサイトブロッキングを経験した。
インド政府は、ポルノを拡散したとされる857のウェブサイトへのアクセスを遮断する命令を下したためだ(訳註:日本語記事)。
当局は、これらのサイトがインド国民のモラルと良識を脅かしていると主張した。しかし多くのインド人たちが不満を覚え、CollegeHumorや9Gagなどのサイトがブロッキングされていたことが判明するとさらに反発は強まった。
強い反発を受けたことで、インド政府は数日でこの禁止令を撤回した。しかし、この物語はそれで終わりではなかった。先月、ウッタラーカンド州高等裁判所が、このブロッキングを復活させたのだ。
3年前と同じ過ちを回避すべく、電子情報通信省は対象リストを審査し、ポルノサイトではない30のドメインを除外した。その後、電気通信局の残る827ドメインのブロッキングを呼びかけるよう伝達。そして、複数の国内ISPがこの数日中にブロッキングを実施した。
今回はCollegeHumorと9Gagが除外されたのはよかったが、だからといって平静に受け入れられたというわけではない。多くのインド人が、政府に見て良いものと見てはいけないものを決められたいわけではないし、大手ポルノサイトのPornhubにも受け入れがたい決定であった。
「インドには、ポルノや成人向けコンテンツの私的な閲覧を禁じる法律は存在しません。インド政府は、同国が抱える根深い問題への解決策を持ち合わせていないことは明らかで、我々のようなアダルトサイトをスケープゴートにしているのです」とPornhubのコーリー・プライス副社長は言う。
Pornhubによると、インド人は世界有数の「アダルトコンテンツの愛好者」で、同サイトの2017年動向(訳註:日本語記事)でも、インドからのトラフィックは世界第3位であったという。
同社はすでにインドの法律に準拠したペアレンタルコントロールや厳格な利用規約を設けていると強調しつつ、インド政府と協力して解決策を見出すことを望んでいるという。
「私たちPornhubは政府による検閲には反対の立場を取っており、この判断を残念に思っていますが、政府の懸念事項に対処し、この状況を改善するために喜んで協力するつもりです」とプライスは述べている。
しかし、彼らはブロッキングされた多くの海賊版サイトの先例に倣い、ミラーサイトとして「pornhub.net」を立ち上げた。つまり、インド人もこのドメインからPornhunにアクセスできるということだ。
「それまでの間、可能な限り迅速にPornhunのコンテンツをインドユーザに提供するため、ミラーサイトを開設しました。この措置が、苦境に陥っているファンのストレスを軽減することを願っています」
もちろん、ミラーサイト以外にもブロッキングを回避する多くの選択肢が存在している。多くのインド人が、GoogleやCloudflareの無料DNSに変更することで回避可能だと報告している。
また、VPNもその選択肢の1つだ。すでにPornhunは独自のVPN「VPNHub」を立ち上げている。
VPNという選択肢は、すでに多くのインド人に知れ渡っているようだ。Googleトレンドを見ると、「VPN」という検索ワードはポルノブロッキングが実施された直後から急上昇している。
意思あるところに道あり……
ブロッキングの対象となっている827のウェブサイトのリストは公開されてはいないが、複数の情報筋によれば、2015年の命令(pdf)から、オーバーブロッキングであった30のサイトを差し引いたものになるという。
Pornhub Deploys Mirror Site to Bypass Indian Porn Ban, While VPN Searches Spike – TorrentFreak
Publication Date: October 29, 2018
Translation: heatwave_p2p