2年前、Kodiメディアプレイヤーのサードパーティ製アドオン「Exodus」は最も高い人気を誇っていた。このオープンソースソフトウェアを利用すれば、映画やTV番組を見放題だった。もちろん、そのほとんどは海賊版だ。Exodusは2017年に正式サービスを終了しているが、現在も数多くのフォークが出回り、オープンソースソフトウェアの根絶が容易ではないことを示している。
2017年初頭、海賊版ストリーミングボックスのブームが最高潮に達したころ、サードパーティ製のKodiアドオン「Exodus」はその流行の中心にあった。
Exodusはストリーミングビデオにアクセスする最も利便性の高いアドオンとして高く評価されていた。もちろん、そのなかには海賊版の映画やTV番組が数多く含まれていた。
このオープンソースソフトウェアのメンテナンスを中心的に担っていたのは「Lambda」という人物だった。しかしこのことは、著作権者たちが圧力を高め始めたとき、その主要なターゲットになるということであった。
人気のアドオンリポジトリ「TVAddons」が突如、謎の消滅を遂げたことがすべての始まりだった。Exodusはこのリポジトリ経由で配布されていたため、多くのユーザがアップデートに苦労した。
当初、TVAddonsに何が起こっているのかは不明なままだったが、1ヶ月以上が経って同サイトが復旧した時、TVAddonsがBell Canada、TVA、Videotron、Rogersらから提訴されていることが明らかになった。訴状には、Exodusをはじめとする17のアドオンが記載されていた。
その後間もなく、Exodusアドオンの開発は中止された。これが意味するのは、数百万の海賊版ストリーミングボックスが日毎に使い物にならなくなっていくということであった。少なくとも、購入当時の設定のままでは。
この空白を埋めるべく、他の開発者が立ち上がるまでにそれほど時間を要しなかった。興味深いことに、Exodusの代替アドオンの多くは、オープンソースであるオリジナルのExodusのコードをベースにしていた。アドオンの開発が終了して2年が経過した現在でも、そのコードは生き続けている。
TVAddonsは最近、Exodusの各種『フォーク』の概要を公表した。
最も人気を集めているのは「Exodus Redux」で、GitHubから入手でき、I-A-Cという開発者がメンテナンスしている。
Exodusのコードをベースにしたアドオンは、「Yoda」「Exodus 8」「Overeasy」「13Clowns」など、ほかにも数多く存在する。いずれも利便性が高いインターフェースを通じて、ビデオのストリーミング視聴を可能にしている。
オープンソースコードは容易にフォークできるが、こうしたアドオンが無傷でいられる保証などはどこにもない。複数のExodusベースのアドオンがすでに開発を停止・削除しており、その背景には、「ACE」などの海賊版対策団体からの圧力がある。
「著作権者による二重用途(dual-use)のテクノロジーを破壊しようとする取り組みは、ごく短期的には効果があるようだ。しかし、こうした権利行使は、Kodiアドオンで見られているように、長期的には制御不能なかたちでソフトウェアとツールが拡散する結果を招くことになる」とTVAddonsの広報担当者は語る。
理論上は、これは事実である。TVAddonsでは、アクティブなExodusフォークを7つしか掲載していないが、ほかにも無数に存在している。この問題を解決するのは非常に困難だ。
しかし、こうしたアドオンを停止させようとする著作権者たちの不断の取り組みは、わずかな効果を生み出す可能性はある。筋金入りの海賊ユーザたちは、常に新たなフォークを見つけ出すだろうが、なかには繰り返される停止に苛立ち、最終的には諦める者も出てくるだろう。
Googleの検索ワード「Kodi add-on」のトレンドに注目すると、大々的な取り締まりが開始した直後から、その関心が薄れ始めてきたことがわかる。もちろん、偶然の一致の可能性もあるが、ユーザの間に諦めが広がった兆候と見ることもできよう。
オープンソースソフトウェアは容易に根絶できないという事実を否定することはできないが、アクセスの容易さも重要な役割を果たしている。
同じような傾向は、Popcorn Timeのような他の人気オープンソースアプリケーションでも見られている。最も人気のあるフォークがハリウッドの圧力によって閉鎖を余儀なくされたときも、別のフォークは残された。しかし、時間がたつに連れて、関心は薄れていった。
同様に、LimeWireが数年前に閉鎖した時も、そのフォークであるFrostWireという選択肢もあった。しかし、LimeWireの利用者たちがFrostWireに飛びつくこともなかった。
全体としてみれば、Exodusははるか昔に表舞台から姿を消したが、そのコードは未だに繁栄を続けていると結論しても間違いはないだろう。しかし、そのユーザ数は以前と同様の規模であるかどうかには疑問がある。
Exodus Forks Show That Open Source Kodi Add-ons Are Hard to Eradicate – TorrentFreak
Publication Date: April 28, 2019
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: NeuPaddy
著作権者と海賊版アドオン開発者のイタチごっこは続いているが、いつまでもユーザがついていくわけではない、ということだろうか。1つのアドオンが潰されるたびに、別の選択肢を探し、インストールするというのは、少なくとも「アドオン全部載せボックス」を購入するようなユーザにはついていけるようなものではない。その意味で、イタチごっこには終わりはなくても、効果がないわけではない、という考え方もできる。
一方で、Kodiの海賊版アドオンのコンテンツ供給源であるRapidVideoやOpenloadが相次いで、広告ベースの無料配信を断念し始めていており、エコシステムの崩壊ともいえる状況を迎えつつある。幸いなことに、この手の海賊版アドオンは日本ではほとんど話題になることも驚異になることもなかったが、話題になる前に沈静化していくことになるのだろう。