以下の文章は、Fight fot the Futureの「20+ Civil Rights Organizations Call on FTC to Challenge Amazon-iRobot Deal」という記事を翻訳したものである。
濫用的監視とビッグテックの独占に反対する20超の市民団体は、Amazonによる人気のスマートホームデバイス「ルンバ」を製造するiRobot社の買収に異議を唱えるよう、連邦取引委員会(FTC)に書簡を送付した(訳注:書簡の邦訳)。この書簡には、Fight for the Future、Public Citizen、Color of Change、Institute for Local Self-Reliance、電子フロンティア財団、National Domestic Workers Alliance、International Brotherhood of Teamstersなどの人種的公正、プライバシー、反トラスト法改革を主張する団体が署名している。
Amazonは近年の積極的な買収戦略によって、スマートホーム監視市場を支配している。AmazonによるiRobot社の買収は、同社が2018年にスマートドアベルカメラ「Ring」を買収し、数百万世帯を監視対象に追加したことを思い出させるものである。iRobotの買収が進めば、この取引は同様に、プライバシーの権利を危険に晒し、有色人種コミュニティを不当に取り締まり、プロファイルし、犯罪者とする監視ネットワークに燃料を供給しつつ、さらに競争を阻害することになる。
本書簡は、市民権やプライバシーへの深刻な懸念を強調している。
自宅ほどプライベートな空間はありません。しかし、今回の買収により、Amazonは他の手段では、あるいは競合他社には入手できない私たちのもっともプライベートな空間の極めて詳細な情報を取得できるようになるのです。間取りだけにとどまらず、消費者住宅の内装や住人のライフスタイルなど、非常に詳細な情報を手にするのです。今回の買収によって、Amazonがこれらの個人情報にアクセスできるようになれば、消費者の不利益に繋がります。
書簡はさらに、「長年にわたり、公民権団体は、Amazonのスマートホーム監視デバイスのネットワークが、有色人種のコミュニティにもたらす危険性、とりわけこれらの装置によって収集される大量のデータに起因する危険性について警鐘を鳴らしてきました。Ring社の買収と同様に、iRobot社の買収は、とりわけ中絶を受ける権利など、これまで確立されてきたプライバシー権が侵食されつつある環境において、予期せぬ有害な結果をもたらすことにもつながるでしょう。既に侵入的なAmazonのホームシステムにiRobotのデバイスをリンクさせれば、さらに多くのIoTデバイスからのデータ収集を促すことになり、その中には、生活習慣や健康など、私たちの人権と安全を危険に晒すようなプライベートな情報が含まれることにもなります」とも述べている。書簡の全文はこちらからご覧いただきたい。
以下は、Fight for the Futureディレクターのエヴァン・グリア(she/they)の声明である。
「当然、Amaoznの狙いは、私たちの自宅全体をマッピングする企業を買収することにある。Amazonはすでに、我々が口にすることすべてに耳をそばだて、私たちがすることすべてを記録するデバイスを保有している。ルンバは、その侵入的な「スマート」ホーム監視のエコシステムに新たなレベルの監視を追加し、同社の利益のために我々の日常生活を搾取する機会を増やすためのものとなる。
こうした幅広い監視が、Amazonを極めて強力な存在にしている。たとえAmazonのデバイスを所有していなくても、同社の監視に苦しめられることになる。テクノロジー大手の「ビッグ・ブラザー」型の監視ネットワークは、監視データを令状もなしに警察と共有し、有色人種を犯罪者とみなす人種差別主義者を刺激し、中絶を求める人やその提供者を監視・密告するためのツールを強制出産主義者に与えている。Amazonの監視帝国が強大になればなるほど、市民の脅威はますます大きくなっていく。
FTCは、AmazonのiRobot Corporation買収提案に異議を唱えるために、その権限を行使すべきである。Amazonによる企業買収は、我々の生活のあらゆる側面に監視の触手を伸ばすことが狙いであり、その結果として生じる市民権への悪影響をまったく考慮していないことは明らかである。
Amazonはすべての競合他社を潰し、利益を独占することばかりを考えている。承認されたAmazonのMGM買収を例に取ろう。現在、MGMはRing監視カメラの映像を放映するリアリティ番組を企画している。この危険なプロパガンダは、監視を正常化し、Amazonによる濫用を楽しいものに見せかけようとするものだ。こうした試みは、とりわけ我々の子どもたち、そして彼らのプライバシーと身体(物理的にもデジタル的にも)に対する危機管理意識に長期的な影響を及ぼすだろう。
FTCはプライバシーの権利に関心を示し、プライバシー侵害に対処するための規則の制定を検討している。素晴らしい第一歩であるとは思うが、監視やデータの濫用から国民を守るためには、有害な買収の阻止も必要になる。もしFTC委員がプライバシーや有色人種、妊婦の保護を重視しているのであれば、AmazonのiRobot買収に異議を唱えるだろう」。
Fight for the Future – 20+ Civil Rights Organizations Call on FTC to Challenge Amazon-iRobot Deal
Author: Fight for the Fiture
Publication Date: September 9, 2022
Translation: heatwave_p2p
Material of Header image: Petri Heiskanen