米国で著作権トロール訴訟が激増中、ただしカモは激減
米国で増加を続ける著作権トロール訴訟。その背景には、和解金を引き出すために著作権侵害を利用する弁護士事務所の存在が見え隠れしている。
Details米国で増加を続ける著作権トロール訴訟。その背景には、和解金を引き出すために著作権侵害を利用する弁護士事務所の存在が見え隠れしている。
Details海賊版の科学論文へのアクセスを提供するSci-Hub。日におよそ7万人のユーザが訪問し、20万本超の論文がダウンロードされているという。科学知識へのアクセスはどうあるべきか――Sci-Hubはその議論の中心に躍り出ている。
DetailsBarnbrookは、友人であり共同制作者でもあったBowieに敬意を表して、この「贈り物」というコンセプトをさらに発展させることにした。彼はBlackstarのアートワークをクリエイティブ・コモンズ BY-NC-SAライセンスでリリースした。つまり、世界中のBowieファンが非営利で共有したり、リミックスしたりできることになる。
我々は最近、Barnbrookと彼がCCライセンスでBlackstarのアートワークを公開した決断について話す機会を得た。このプロジェクトでCCライセンスを選択するにあたり、賛辞と感謝の概念がどれほどの役割を果たしたのかをうかがうことができた。
Blackstarのアートワークをリユース、リミックスできるようにしようと思い立たせたものは何ですか?
たくさんの人たちが(Devid Bowieの死によって)悲しみに暮れている。その悲しみを共有するためには、もっと「オフィシャル」な振る舞いが必要とされていると感じたんだ。Blackstarのアートワークがタトゥーとして彫られていたり、ほかにもさまざまに使われているのを目にした。彼らがこのアートワークを違法に使ったとか、後ろめたさを感じることなく、Davidのことを思い出してほしい。彼らがやっていることを共有し、理解しようという前向きな精神において、このアートワークを(クリエイティブ・コモンズ・ライセンスで)リリースすることにしたんだ。
集合的なパブリックの悲しみが軽んじられているように思う。でも、人がある世代の思想や哲学の支柱になりうることを考えるとおかしいことだ。Davidを失った悲しみはあまりにも大きい。なぜなら彼は、なりたい自分になる機会すら与えられないこの社会で、「こうありたい」という自分を表現していたからなんだ。彼はありたい自分ではいられないたくさんの人たちに希望と表現を与えていた。だから、彼が亡くなった時に人びとが大きな喪失感を味わっていることはよく理解できる。
また、人びとの生活においてどれだけ音楽が重要かということがひどく過小評価されているように思う。確かに、音楽は戦争を終わらせることはできないし、誰かの命を救うことはできない。でも、音楽は人生をとても肯定的にしてくれる。落ち込んでいるときに助けてくれる、至福の瞬間を与えてくれる、ある世代の象徴、あるいは哲学でもある。だから、そうしたことを、自分のために、音楽というかたちのないもので表現してくれたその人が、もはや自分の人生の一部としてそこにいないというとき、あなたが深い悲しみに暮れることはとても理解できる。
Davidのカバーアートを手掛けるときは、とてつもない重責を感じていたのと同時に、特別な名誉でもあった。だからこうすることは適切なことだと理解しているよ。
アートワークの共有やリミックスをさせるのに、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを選択した具体的な理由は何だったのですか?
クリエイティブ・コモンズはよく考えられた、シンプルなシステムだ。みんな知っているし、みんなが理解できる。このライセンスはウェブサイトで十分な情報が伝わるし、簡単に理解できる。アルバムセールスの商業的な側面に影響を及ぼさない範囲で、人びとが望むように使うことができる、ということを両立できるからね。
Bowieが亡くなる以前に、今回のようにアートワークをリリースしようという考えはあったのですか?
生前、Davidとこのことについて話したことがあるんだ。彼は素晴らしいアイデアだと言っていたよ。ただ、こんな悲しみのなかで実現することになるとは夢にも思わなかったけど。このアイデアを思いついたのは、アルバム『The Next Day』がリリースされたときだった。ファンはアルバムの白い四角を好きなようにいじって遊んでいたんだ。そんなことは全く意図していなかったけど、彼らがそれを使いたい、反応したい、一部になりたいと思ってくれたことが最高に嬉しかった。Blackstarのリリースにあたって、この体験が根幹になければならないのではないかと思ったんだ。旧来のレコード会社のやり方は、レコードをリリースし、そのすべてを著作権でがんじがらめにするものだった。だからファンがそれに反応したり、自分なりに解釈したりすることは悪とされてきた。でも、そんな一方的な体験にすべきではないんだ。そういう音楽を愛してやまない人たちをリスペクトし、理解していることを見せなければならない。音楽は未だレコード会社の資産で、それに悪影響がおよぶことはない。単に、人びとがこのアルバムへの帰属意識をそれぞれに持てるということなんだ。それはBowieが望んでいたことでもある。彼が亡くなった時、こうすることの重要性を一層強く感じた。たくさんの人たちが、お金儲けの意図など微塵もなく、ただただアートワークを使わせてくれないかと尋ねてきたから。
アートワークをリリースしてから、たくさんの感謝のメッセージを受け取っている。Davidを忘れないために、このアートワークを使うことができたと喜んでくれた。そうしたメッセージを読むたびに、涙が頬を伝うんだ。
これまで、アートワークの使用、リミックスでこれはおもしろいと思ったものはありますか?
Ziggy Stardustストライプとアートワークを合わせたものがあって、すごいと思った。あのアートワークは本当にすばらしいグラフィックだから、『Brackstar』(のアートワーク)と組み合わせてくれたことは光栄だよ。
アーティストがあなたの人生に影響を及ぼす時、それはきわめて個人的で、一人一人違った経験なんだ。だからこそ、派生を許すクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを使った。みんながそれぞれに(アートワーク)を解釈し、自由にそうできると感じることこそが重要なんだ。それは僕に指図されるべきものでもない。僕は単にそうするために材料を作っただけなんだから。
このアートワークを使ってどんなことをして欲しいと期待していますか?
とてもシンプルだよ。David Bowieへの愛と感謝を表現してほしい。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスについてどうやって知ったのですか?
クリエイティブ・コモンズはいつも僕のレーダーに引っかかっていたよ。アートワークにとって、「商用か、非商用か」という既存のモデルではうまくいかないクリエイティビティの共有の最初の有力なモデルの1つだった。経済的な価値に加えて、共有の余地が必要とされている。人間性はお金の上になりたっているわけではない――人と人との有意義な交換の上に作られているんだ。
開放性や共有は、あなたの作品や創造のプロセスにどのような影響を及ぼしていますか?
それを抜きにしては考えられない。音楽作品以外にも、(僕のクリエイティブスタジオは)たくさんのアクティビストの活動に関わっている。それはアイデアに関わること。そうしたアイデアを拡散することは、彼らの成功のために欠かせないことなんだ。だから、僕たちは人びとに自由に使ってもらえるようなものをたくさん作ってきた。もうすぐ、僕らの新しいウェブサイトでも、アートワークにクリエイティブ・コモンズを使おうと考えているよ。
数日前、カニエ・ウェストは『The Life of Pablo』をリリースした。アルバムは即座に海賊版サイトに広まり、数十万のファンがダウンロードした。
その結果、メディアの注目がパイレート・ベイに集まった。パイレート・ベイの音楽ダウンロードにおいて『The Life of Pablo』は高い人気を誇っており、今でも数千の人びとが『The Life of Pablo』を共有している。
そうこうしているうちに、そのニュースはカニエ・ウェスト自身の耳にも入り、彼はリークによって数百万ドルの損害を受けたと激怒しているという。彼はパイレート・ベイがその元凶であるとして、法廷に引きずり出そうとしているようだ。
「カニエは、トレントサイトのパイレート・ベイへの法的措置の可能性について、彼の弁護チームと議論するようです」と関係者はHollywoodLifeに語っている。
「弁護士と相談し、彼自身が原告となるつもりのようですが、可能であれば、Tidalとともに訴訟を起こしたいようです。独占リリースということだったわけですから」
パイレート・ベイが法的措置のターゲットになるのはこれが初めてではない。パイレート・ベイのもともとの創設者たちは裁判を受けており、2014年後半には国内のデータセンターが家宅捜索され、新たな捜査が開始されている。
しかし、パイレート・ベイはいまだ健在である。現在のスタッフ・メンバーは、カニエ・ウェスト個人にはさして興味がなく、法廷闘争についても特に心配はしていないようだ。
「カニエ・ウェストは底抜けの馬鹿だな。うぬぼれもいい加減にした方がいい。アイツの信者だってニューアルバムはクソだと言っている。と言うのはさておき、ミスター・ウェストがTPBを訴えるというのなら、せいぜい頑張れよ、というだけだね」とパイレート・ベイのスタッフ・メンバー Spud17はTorrentFreakに語った。
「うちの法務部も楽しみにしてるよ」と彼は付け加えた。
言うまでもなく、パイレート・ベイはアルバムのトレントを削除するつもりはないようだ。彼らはいかなる著作権侵害コンテンツであろうとも削除しないという明確なポリシーを掲げている。通常、彼らが削除するのは、スパムやウィルスにリンクするトレントだけである。
一方、カニエは近寄りがたいほど怒りちらしており、彼が受けた損害を誰かに支払わせることに決めたようだ。
「彼は自分の作品が盗まれたのだと怒り、ピリピリしています。彼は、自分の音楽をタダで手に入れた人がいることを許せないと思っていて、誰かにその責任を追わせる必要があると考えているようです」と関係者はHollywoodLifeに語った。
理屈の上では、カニエはパイレート・ベイを提訴することはできるし、勝つこともできるだろう。しかし、パイレート・ベイの関係者がそれに応じるとは思い難く、裁判で認められた潜在的な損害賠償が支払われることもないだろう。
通常よりも多い海賊版のダウンロード数は、ストリーミングサービスTidalでの独占リリースであったことに原因があったものと思われる。多くのファンは高額なサブスクリプション・サービスに縛られたくはないし、しぶしぶ加入したファンですら、アルバムの入手までにトラブルに見舞われた。
パイレート・ベイの共同設立者ピーター・スンデは、現在はパイレート・ベイとは関わっていないが、過去に権利者たちと多数の争いを繰り広げてきた。彼は、ファンがわざわざ曲を聞いてくれたことをウェストはまず第一に感謝すべきだという。
「アルバムはTidalでのみリリースされた。そこにたどり着ける人はほとんどいないのだから、いずれにせよ、リークされる運命にあった。それでも聴いてくれた人がいたということを彼は感謝すべきだよ。高額・低音質なTidalにお金を払ってくれたんだからさ」とスンデはいう。
マイケル・ジャクソン、UB40、プリンス、ヴィレッジ・ピープル――過去にパイレート・ベイを訴えたミュージシャンたちは数多くいる。果たしてカニエはその仲間に加わるのだろうか。
Kanye West Declares War on The Pirate Bay – TorrentFreak